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探偵役が犯人という可能性

 現場に急ぐ途中で、フィオネルは自らの頭に浮かんだ疑念と戦っていた。

 己の主。魔王の娘。

 アイリーンが、推理ごっこをやりたいがために一連の事件を起こしたという可能性だ。


 第一のサイクロプス殺害事件。

 第二の暗黒竜ダラグネル卿、強盗殺害事件。


 この二つを通して、犯人像は絞り込めてきた。

 魔法を使える、強大な力を持つ人物。

 ダクラネル卿の守る宝物庫から物品を奪ったことからして、金銭に困った者の犯行ではないかという向きもあったが――そんなものは、いくらでもカモフラージュできるのだ。


 強力な魔法を使える、となれば、アイリーンだってそうなのだから。


 金銭目当ての犯行と見せかけるため、金品を奪う。

 自分で事件を起こして推理を組み上げ、被害者たちの記憶を改竄(かいざん)し、適当に解決して煙に巻く。


 アリバイがある、という反論もできるが、離れた場所で発動する魔法や時限式の魔法だってある。根拠としては弱い。


 推理小説の中には、往々にして探偵役が犯人だった、という展開もあるのだ。

 本に憧れて探偵をやりたいなどと言い出したアイリーンである。彼女が犯人というのは、あり得ない話ではなかった。


 もし、己が主がそんな事件を起こしたのだとしたら。

 お目付け役として、アイリーンを慕う者として。

 断固たる、行動に出ねば――そんな決意をフィオネルが固めたとき、一行はちょうど第三の事件の現場にたどり着いた。


 魔王城入り口。

 城門前――そこで警備にあたっていたスケルトンが、殺されていたというのだ。

 バラバラ死体となって。まあ不死の眷属(アンデッド)であるスケルトンを死体というのもおかしな話なのだが。

 スケルトンは倒されると関節が外れて崩れ落ちるので、死体は必ずバラバラになる。


 ただし今回ばかりは、少々趣が異なるようだった。

 骨が散らばっているのは、スケルトンが殺されたときよくある光景だ。

 ただ今回は奇妙なことに、バラバラになった骨が部分的に(ちり)になっている――灰のように散らばった骨の粉が、時間と共に徐々に再生しているからだ。


「この死に方は……」


 アンデッド独特の死因、というものに思い当たる節があって、フィオネルは再生途中の骨を見てつぶやいた。

 骨すら塵になる死に方。

 この、容易に再生させない殺し方は――


「はい、()()でございます!」


 フィオネルの言葉を引き継ぎ。

 伝令の兵が、敬礼をし証言した。

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― 新着の感想 ―
[一言] 今度はまさかのアイリーンお嬢様が疑われている…だって!? もしそうだとすればかなり手が込んだことをしますね…。 それはともかく、バラバラになったスケルトンにもまた1つ特徴があったようで… …
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