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ログインのみ弱小プレイヤーの魔導士  作者: 白魚
第8章  若き魔導士の追憶
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090  若き魔導士の追憶Ⅲ

 十二年前、まだ二人が軍に入っていない頃、まだ、十代だった時の話。



 元々、二人は幼馴染であり、魔導士・錬金術師になるための魔法学校に通っていた頃に遡る。



 これは『氷結の魔導士』と呼ばれる前の話。




     ×     ×     ×




 十二年前――――



 オストワール魔法学校・中等部――――



 幼きデミトロフは中等部の錬金術科に所属していた。



 いつも隣には幼き頃から一緒にいる普通科に在籍しているエミリーがいた。



 デミトロフが何か余計な事を起こさないか、いつも隣で見張っていたのだ。



「エミリー、なんでいつも隣にお前がいるんだよ」



 デミトロフが嫌そうな顔をして、隣で眼鏡をかけ、教科書を持ち歩いているエミリーを見た。



「それはジョンが学校内で悪さをしないか、監視しているのよ」



「だったら、命令だ。監視はしなくていい。お前はお前のしたいことをしていろ!」



「分かりました。でしたら、このまま隣にいるとしましょう」



「お前なぁ……」



 デミトロフは面倒そうに頭を悩ませながら、溜息をついた。



 デミトロフの家系はマリエスト国のノースシティの中でも富豪の家系である。



 そして、エミリーの家系は代々デミトロフ家に仕える者であり、歳の近いエミリーは、デミトロフの仕えの者である。



 成績優秀であり、デミトロフの近辺を警戒しながら、いつもそばにいる。



 デミトロフにとっては、面倒な女としか思っておらず。



 全てにおいて、彼女に勝ったことが無い。



「エミリー、食堂はしっかりと抑えてあるんだろうな?」



「何ですか? しっかりと抑えてありますよ。心配しなくても席は逃げたりしませんから……」



「いつも思っているが、お前の弱点って、一体どこにあるんだ?」



「さぁ、どこにあるんでしょうね。それよりも早くしないと置いていきますよ」



 エミリーは少し歩いて、後ろを少し振り返ると笑って言った。



「ちっ……喰えねぇ女だ」



 デミトロフは前髪を上げて、首をゆっくりと一周させた。



 二人は中等部の大食堂へと向かった。





 大食堂には多くの中等部の生徒が昼食を取りに集まっていた。

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