009 天の災厄Ⅸ
辺りはいつの間にかオレンジ色に染まっており、太陽は西の方へと沈みかけている頃だった。
そうか、もうそんな時間になっていたのか……。
俺は時間を確認すると、午後六時を回っていた。
さすがに四日間馬を借りたのは間違いだったような気がした。
往復で約三日。
このままのスピードで行けば明日の深夜頃にはたどり着くであろう。
セントラルからあの吊り橋までの道のりで小さな村があったはずだ。
そこで一度夕食にして、再び走り出せば問題などないだろう。
しばらくすると、その小さな村が見えてきた。
まだ、村には明かりが点いており、ここに二、三時間は滞在しても時間に支障はない。
すぐに馬小屋に馬を止めると、食料代を店の主に渡し、俺はそのまま村の中へ歩いていく。
静けさに包まれたこの村には人通りが少ない。
酒場をやっている店がいくつかあるが、その中で一番安く食べられる所の店を選び店内に入った。
店の空気は静かでどこか落ち着いた空気が漂っていた。
客は七、八人程でおり、そのほとんどが村の住民だった。
この店の店主は五、六十代の男性で、メニューを見る限り腕は一流だと感じさせる。
試しにここで一番安い食事とデザートを頼む。
この村に立ち寄ったのは俺以外居なさそうな感じがする。
周りの客から妙な視線を感じながら料理が出来上がるのは今か、今かと待ち続けていた。
二十分後————
テーブルの上に調理された様々な料理が並ぶ。
スープに肉、そして、パンとイチゴが並んだ。
俺は代金を支払い。そして、半日ぶりの食事をする。
無言でどんどん食べ物を口に入れながら飲み食いを繰り返し、あっという間にすべてを食べ尽くす。
左手でウインドを開き、アイテムや装備を見ながらイチゴを一つずつゆっくりと食べ終わると、
「ごちそうさま。おいしかった……」
そう言い残して、俺は店を後にした。
暗くなった外には、明かりが灯り、家の方から家族の笑い声が聞こえてくる。
身寄りのない俺は、夜の村を歩きながら、馬小屋へと向かう。
自分の馬を探し、再び背中に乗ると、村を出てセントラルに向かって走り始めた。
