表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ログインのみ弱小プレイヤーの魔導士  作者: 白魚
第8章  若き魔導士の追憶
89/139

089  若き魔導士の追憶Ⅱ

 デミトロフが苦笑いすると、エミリーは冗談を言いつつ、微笑んだ。



「その代わり、大佐は部下たちにお土産でも買ってあげてくださいね」



「…………」



 デミトロフは黙りだす。



「いいですね?」



「はい……」



 エミリーの念を押されて、デミトロフは心が折れて承諾した。



「それじゃあ、私はお先に失礼します。いつ頃に駅のホームにいればよろしいのですか?」



「今から三十分後だ。行先は分かっているだろ?」



「はい、分かっていますよ」



 と、言い残して、エミリーは部屋を後にした。



 ――――さて、私も着替えるとするか。ああ、一応、奴に伝言を残しておかなければ……。



 デミトロフはペンを手に取り、メモ用紙に言葉を書き残すと、それを机の上に置いたまま、部屋を後にした。




     ×     ×     ×




 三十分後――――



 セントラル駅構内、三番乗り場――――



 デミトロフとエミリーは、北の地に向かう列車に乗っていた。



「ノースシティとセントラルの間にある小さな街、シュプリンゲ。大体、ここからだと二、三時間といった所か……。エミリー、昼ご飯は買ってあるだろうな?」



「言われなくても買ってありますよ、大佐」



「大佐というのは止めろ。今はただのジョンでいい」



「分かりました。それじゃあ、この買った昼食はすべて私の物でいいんですよね?」



 エミリーが微笑みながら、駅の売店で買った弁当をこればかしに見せつけてくる。



「あ、いや……。分かった、好きにしろ!」



「ありがとうございます。大佐」



「エミリー、あれから何年くらいたった?」



 デミトロフはエミリーから弁当を受け取ると、蓋を開ける。



 エミリーは冷たいお茶を物置に置き、自分も昼食を取り始める。



「そうですね。十二年くらい前になりますね」



「十二年前か……」



 デミトロフはそう聞くと、悲しそうな目をすると、電車は目的地に向かって動き始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ