081 新たな旅立ちⅠ
外がまだ明るかった頃――――
裕也の部屋に誰かが訪れていた。
ドン、ドン、ドン、ドン――――
「ユウヤ。そこにいるのは分かっている。今すぐ開けなさい‼」
やかましい声が建物内に響き渡る。
「開けないのならこちらにも考えがあるぞ‼ 聞いているのか!」
――――うるせぇ……。
だが、扉の向こうから物凄い威圧を感じるのは確かである。
「開けないって言うのなら勝手に開けるぞ!」
ドンッ!
と、今までにものすごい音がして、部屋の扉が部屋の奥まで吹っ飛んできた。
ドシン、ドシンと、足音を鳴らしながら部屋の中に誰かが入ってくる。
――――ちっ……。誰だよ、勝手に人の部屋に入ってきたのは……。
裕也は毛布をめくって体を起こす。
「うるせぇ! 誰が扉を壊して入って来ているんだ!」
入ってきた人物に怒る。
「この馬鹿者が!」
罵声と同時に裕也の目の前に何かが飛んできた。
その物体は顔面に当たり、裕也は作用反作用の法則で後ろに倒れる。
「いてて……。いきなり何するんだよ……」
右手で鼻を押さえながら再び起き上がって目を開ける。
「この馬鹿弟が!」
「‼」
次の攻撃が飛んでくる。
女が叫びながら突っ込んできて、重いっきり裕也の頬を殴ったのだ。
「ぐはっ‼」
そのまま裕也はベットから落ちる。
「お前、一週間こんな所で何をしているだ!」
裕也の胸倉を掴んで女は叫ぶ。
「さあ、早く言え!」
女は裕也の体を持ち上げて、ベットの上に叩き落した。