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080 咎人の罪Ⅹ
三久は言葉を失う。
目の前で人を殺して、挙句の果てにその平然としていた顔の裏には罪悪感と劣等感を抱いていたのを知った。
二人は同じようで違う。同じ人間なのに考え方が違う。それは誰だって同じな事だ。
一花、二葉、三久だって同じ顔、同じ体型なのに性格も声も違う。
「それでもいいから話せって私は言っているのに、あんたはその繰り返しで何も話してくれないじゃない。あれ以来、裕也は引きこもって、総司の姿も見ていない。それでもあんたは何も話そうしないじゃない。それがムカつくのよ」
そう言い残して、一花は部屋を出てどこかへ行ってしまった。
一花がいなくなり、部屋の空気は静まり返る。
二葉はベットの上でうつ伏せになり、三久と目を合わせると気まずくなりそうで、目をつぶった。
三久は三久で、自分が抱え込んでいる重たい事が頭から抜け出せず、体は分かっていても頭が未だについて行っていない。
こんな空気の重い時間が続く中、扉を叩く音がした。
ドン、ドン――――
「こちらにユウヤ・サクライはいる?」
女の声だ。
三久はゆっくりと立ち上がって、扉を開けた。