70/139
070 剣の魔導士とそこにあるものXIV
「分かっております。これはこの街から国に対しての我々がどれだけの力を持っているか、知らしめるためです。絶対に成功させて見せますとも」
「そうですか。成功したら教主様は国の支配者、いや、国王になることができるかもしれませんね」
「いやいや、そんな事はないよ。私はこのまま教主のままでいい。ましてや裏から支配する方が面白そうではないか?」
「それもそうですね」
「中将殿、上で食事の準備が出来ております。そちらの部下の人と共にお越しください」
「分かりました。中尉、それでは行くとしよう」
「分かりました」
黒髪の三久は、総司の指示に従って立ち去ろうとする。
そして、立ち去る前に三久は小声で、
「安心してください。絶対に助けて見せます」
そう言い残して、裕也は再び地下牢で一人になった。
――――絶対に助けて見せます…か……。あいつ、言えるようになったもんだな。
裕也は一人笑いしながら牢獄の中で時が来るのは一人静かに待ち続けた。