表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ログインのみ弱小プレイヤーの魔導士  作者: 白魚
第5章  剣の魔導士とそこにあるもの
64/139

064  剣の魔導士とそこにあるものⅧ

 ――――月か……。その日に俺を生贄に完成させるつもりなのか?



 ――――そもそもそれだったら三つの法則がつぶれてしまうんじゃないのか?



 ――――そうなる前に俺の渡した紙を解読してくれればいいんだけどな。



 ――――ま、あいつらには奴が付いている。必ず会えば、流れはこっちのものだ。



 裕也が思っていることは仮定にしか過ぎないが、確証はある。



 裕也が考えている奴とは、女好きで、知り合いの女がいれば必ず会いに行く。そんな男だ。



「ま、そんな都合よく行くはずがないか……」



 そんな事を考えながらまた、溜息を漏らす。



 すると、扉の向こうから誰かが階段を降りてくる足音がする。



 ――――マーロスか?



 大人しく座っていると扉が開く音がした。



 カツ、カツ、と足音を鳴らしながら黒の軍服を着た二人の軍人が裕也のいる檻の前で立ち止まると、裕也を見下ろす。



 一人は刀を腰に刺した金髪男で、もう一人は何も持たずに白い手袋をはめた黒髪の少女だった。



「この絵面を見ると情けなく見えるな」



「そうですね、中将」



 女は小声で笑いながら裕也を見下ろす。



 この二人は面白おかしく笑いだす。



「何がおかしい。そう言えば、お前らもマーロスと内通している軍人だったな。それがあんた達なのか? 答えろ!」



 睨みつけながら裕也は叫ぶ。繋がれた鎖を解くことは出来なくとも声を上げることは出来る。



 だが、二人は笑いをこらえて、裕也の言葉など耳に入らない。



「そんなにイライラするな。頭の回転が鈍くなるぞ」



 男がやっと口を開いて話し出す。



「何ぃ?」



「まだ分からないのか? お前は策士でありながら頭の回転が早い奴だと思っていたんだけどな……」



「そうですよ。簡単に敵に捕まってのうのうと檻の中で暇を持て余しているのですか。相変わらず、能天気な人ですね」



「お、お前ら……一体……」



 裕也は言葉を失う。



「まだ分からないんですか?」



「だから、お前は捕まるんだよ」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ