039 ウエストシティの内戦Ⅱ
「だったらユーヤが私をベットまで運んで?」
「なんで俺が……仕方がない。どうなっても知らねぇからな」
裕也は二葉の耳元で囁くと、二葉の頬が赤くなる。
――――やばい、何言ってるんだろう。私……。
裕也はゆっくりと体を起こし、二葉に覆いかぶさる。
――――え、うそ! い、いやっ!
二葉は上にまたがって見下ろしてくる裕也に見とれて、声が出ない。
心臓の鼓動が早くなり、この気持ちが治まらない。
口と口が重なり合いそうで、一歩間違えればキスしてしまいそうな距離だ。
「はぁ、はぁ、はぁ……」
息が荒い。二葉は今、自分がどんな顔をしているのか想像できない。
「二葉、俺の左腕が動かないからゆっくりと体を起こせ……」
「う、うん……」
二葉は言われた通りに上半身を少し浮かし、裕也はその間に左腕を抜く。
「ひゃっ!」
腕を抜くときに背中が手に当たり、思わず声を出してしまう。
「声を出すな……あいつらが起きるだろ‼」
二葉は小さく頷く。
毛布の中で二人はゆっくりとお互いの体を密着させながらどうにかして離れようとする。
――――これはこれで色々とやばいな……。
――――二葉って、こんなに可愛かったか? 待て待て、こんな顔、嫌でも三つは見ているだろ。
シャンプーの香りが未だにいい匂いを放っており、髪の感触がさらさらしている。
「じゃあ、抱くぞ……」
「う、うん……」
裕也は二葉の体を抱き、持ち上げようとした時――――
「抱くって、何ですか?」
「え?」
いきなり毛布がめくり上げられ、右横には一花と三久がいつの間にか立っていた。
二人ともユウヤを睨みつけながら怒っている様子だ。
「あ、あれ? お前らいつから起きて……」
裕也は言葉を失う。
「二葉、どうしてこんな大勢になったのですか?」
三久は二葉に問いただす。
「ユーヤに襲われた……」