021 三つ子の奴隷Ⅷ
「そう、等価交換。それは元素から物質まで全ての種類を知らなければならない。等価交換は何かを得る同等なものがいるし、要するに錬金術もまた、難しい術だからな……」
俺は頭を掻き、考えてしまう。
「ま、この後、このセントラルの大図書館でも行ってみるか……。もしかすると、見つかるかもしれねぇからな」
「あ、ありがとうございます」
三久は受け入れる俺に素直に頭を下げる。
別に礼を言われるほどでもない。
残りの料理を全て口の中に入れ、一気に水を飲み終えると、水のお代わりを申し出て、食べ終えた料理の皿は全てテーブルから持って行ってもらった。
「一花や二葉は覚えたいものってないのか?」
「私は……魔法かな?」
「私も魔法……」
「そうか、お前たちは俺と同じ、魔法か……。分かった。なら、旅の行き先の前に魔法と錬金術の方を早めにしておくか……」
そう言って立ち上がると、レジで会計を済ませ、俺達四人は大図書館に向かった。
大図書館――――
このセントラルの中で一番面積の広い図書館と言われている。錬金術から魔法、他にも農業や工業についての知識、歴史の書物まで全てが揃ってある。
この大図書館はセントラルの管理下にあり、多くの人が利用して、軍の人も行き来している。
正面玄関の目の前には噴水があり、その下に小さな階段がある。
階段を上り、噴水の目の前で図書館を見上げた。
図書館は白い大きな柱のデザインで、どこかの神殿の造りになっていた。
「へぇ……これがセントラルの図書館か……。思っていたよりでかいな……」
「良く言うわよ。ここまでたどり着くのにどれだけ時間が掛かっと思っているのよ」
一花は膝に手をつきながら、息を切らしていた。
「仕方ないだろ? 俺だってここに来るのは初めてなんだから……」
「だったら、前もって調べておきなさいよね!」
「それを俺に言う事か! 大体、行く途中で、お前らの姿がすぐにいなくなるのが悪いんだろ?」
「仕方ないじゃない。欲しいものがあったんだから……」
一花は不服そうな顔をする。
「お前なぁ、いくら俺が金を持っているからって……ああ、口論するのも面倒くせぇ……」
なんだか、これ以上体力を無駄に使うのが面倒になってきた。




