131 真理の行き先Ⅳ
「なるほどね。分かりやすいが、他の奴だったらその説明はチンプンカンプンだぞ」
ハウロックがツッコミを入れる。
「いいんだよ。分かる奴に分かりやすく説明さえすれば……」
「はぁ……。じゃあ、今から重ねるから床を綺麗にしてもいいか?」
「ああ、一度、頭を冷やした方が頭が冴えるからな」
二人は床を片付け始める。
ガチャ。
と、扉が開く音がした。
二人は肩をビクッとさせ、扉の方を振り向く。
「はぁ……。疲れました……」
クタクタになったエミリーが、訓練から帰ってきたのだ。
「おお、お前か……」
デミトロフは、安心して、胸を撫で下ろした。
「はい。何かいけませんか?」
「いや、別に悪い事ではないが……訓練はもう終わったのか?」
「終わりましたよ。結構疲れましたしね。少しお風呂に入ってきますので、話はそれからにしておいてください」
「あ、ああ。服とかはどうする? 出しておこうか?」
「はい、適当に選んで籠の中に入れておいてください」
と、エミリーはカツラを脱ぎ捨てて、そのままヨレヨレの体を風呂場までゆっくりと持って行った。
「ハウロック、資料の全てを隣の部屋に持って行っておいてくれ。俺もエミリーの事が終わったら後で一緒に片付ける」
「分かった。これをあの部屋に持って行けばいいんだな」
ハウロックは、資料を丁寧に積み上げて隣の部屋に片付ける。
「‼」
デミトロフは、胸のあたりに痛みが走るのを感じた。
――――ちっ……。また、痛みが走りやがった。
苦しい表情をしながら、エミリーの服を出し、風呂場に持っていく。
――――ま、覚悟をしていたことだがあと一日か……。
「おい、服をここに置いておくぞ」
デミトロフは、かごの中に服や下着を置いた。
「ありがとうございます」
デミトロフは壁に寄りかかり、壁越しにエミリーに話しかける。