013 天の災厄XIII
そう悔やみながら俺は街の中を歩き回る。
それにしてもこのセントラル以外にも確か四方にこの国と同等の国家があるんだよな。
セントラルにあるギルドは大体五十から六十程度、この円型のそびえ立つ壁の中に二十。壁の向こう側に四、五十ほどある。
さて、今更ギルドに入る気にもならないな。軍の犬になるのもあまり釈然としないな。
旅に出るには……仲間が必要か。仲間か……。さすがに今更旅をする奴なんていないだろうな。
「さーてさて、お立合い、お立合い。ここに立ち寄ったのは何かの運。これからお見せするのは、我々奴隷商人による実演販売ときたものだ。さあ、さあ、そこのお兄さんにお姉さん、金持ちの方、今日ここに並びますのは若々しい奴隷たちです。さあ、どうです？ 一つ見に行ってはどうですか？」
と、広場の方で奴隷商人が人々の目の前で人身売買を行っていた。
今まで見たことは無かったが、本当にこの世界は人の人事権は無いのかよ。
イラつく……。
そう思いながらも俺は広場の方へと向かい。大衆の後ろの方で人陰に隠れながら暇つぶしに見た。
さすがに魔獣や獣系、動物はこんな所で公にしないらしい。
ここに集まっているに人は奴隷を買うために来ている奴らがほとんどだ。
「され、人も大勢集まったところで実演販売をいたします。今日の商品は人間と亜人です。さあ、皆さまゆっくりとご覧になって行ってください。そして、ここでリアルオークションを行います。金額を言う方は挙手してお願いしますね。一人目は狐の亜人。性別は男。歳は十五歳。ではどうぞ……。」
奴隷商人は膜の方を指して、ステージの左の方へと後退りしていく。
幕が上がり、狐の耳と尻尾を生やした少年が汚くでかい白い服一枚着たままステージの前へと出てきた。
そう、奴隷商人による奴隷オークションが始まったのだ。
