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127 双方の遺言Ⅴ
「ジョン・デミトロフ」
「はい‼」
そこには合同訓練に参加するデミトロフの姿があった。
「うん。今日は来ているらしいな。そう言えば、エミリー・ウィリアムはどうした?」
「はぁ……。昨日、俺の風がうつったらしくて、高熱で休ませています」
「そ、そうか……」
教師の質問にしっかりと答えるデミトロフ。
だが、彼はデミトロフであって、デミトロフではない。
一見、デミトロフに見えるが誰かが疑問に思わないかぎり、見分けることは出来ない。
デミトロフ(エミリー)は、彼に変装して、この場に立っている。
彼女のしている手袋には、デミトロフの血で作られた錬成陣が構築されており、それに付け加え、彼の錬金術の魂を宿している。
それにより、エミリーはデミトロフの錬金術を使うことができるのだ。
闇の集団が来るまで、あと二日。
それぞれの戦いが始まる。




