012 天の災厄Ⅻ
そう言って、兵士の後ろをついて行く。
どこに行ってもパスポート的みたいな申請はしないといけないらしい。
セントラル中央部、入国管理局――――
このセントラルで外部からの入国許可書を得るにはここでしっかりと申請をし、それさえクリアできれば今後、いつでもこのエリアを行き来することができる。
「さあ、ここが管理局本部だ。ここ以外にも四方位に四部局がある。貴様、名を何というんだ?」
「ユウヤだ」
「そうか、じゃあ、ユウヤ。今後、こういったもめ事を犯すんじゃないぞ。ここから先は貴様が自分で何とかしろ。私は仕事に戻る」
その場から立ち去ろうとする兵士に俺は右腕を掴み、進路を妨害する。
「少し待ってくれ……」
「なんだ? 何か質問でもあるのか?」
「ああ。気になることがあってな……」
俺は振り返って、彼の目を見ながら話をする。
「この国では奴隷制度があるんだ? 昔はこんな事なかったはずだぞ」
「はぁ? この国の奴隷は昔からあるぞ。と言ってもあの奴隷どもは人間、その他にも亜人や魔獣なども扱っているからな。そして、絶対に主人に逆らえないように術を施してある。要するにあいつらは俺達にとってはおもちゃみたいなものだ。いいぞ、特に若い女を奴隷にするのは溜まらないな。仲間の奴も買っている奴がいるらしいぞ」
「そうか、それならいい……」
本当にこの世界は狂ってやがる。
「あんたも冒険者なら一人や二人、仲間にしておいても損はないぞ」
「考えておく……」
そう言って、自分の手を彼の腕から話すと、俺はそのままセントラルの入国手続きをするために受付の前に立った。
申請書を受け取り、机に置いてあるペンを取り、自分の名前を書きながら色々とこの規約に必要な事を枠内に書く。
最後のサインまで書き終えると、受付の女性に許可書を渡し、全てをクリアした後にセントラルの印を押してもらい、それをアイテムボックスに保管した。
「以上ですべての審査を終わります。もし何かあった時はここか、他の支部に問い合わせてください」
女性は軽く礼をすると、俺は管理局の外へ出た。
「やっと終わったか……。こんな事なら、昔からプレイをしておくんだったな」