118 二人のバラガキⅤ
と、好調の話が終わると、一度解散する。
闇の集団が到着する時刻は、今日から三日後、軍が到着するのは早くても四日だという。
そのため、何とか一日持たなければならないのだ。
校長室を出た三人は、それぞれ自分たちの寮に戻る。
今日の午後から戦いが終わるまで、休校となっているのだ。そして、呼び出された生徒たちは明日から作戦会議に参加し、実践訓練も入っている。
「それにしても呼び出された生徒多かったな。その中でも一般生徒はお前と後何人いた?」
「私を入れて三、四人と言ったところでしょうか」
「そんなにいたのか。そいつらってお前より優秀だったりするのか?」
「そうですね。一対三でも余裕で勝てるくらいでしょうか」
「そうか……」
デミトロフは苦笑いする。
――――一人で三人も相手にならないって、お前どれだけ強いんだよ。
――――良かった。こいつに錬金術や魔法が無くて……。
――――あったら負ける自信あるな。
そう思いながら、エミリーより下の者に対して、哀れと思ってしまう。
「デミトロフ、お前はさっきの話をどう捉える?」
デミトロフが訊く。
「そうだな。なんとなく話の内容は入ってきたが……問題は、なぜ、三日後なのかだ。普通、緊急なら一日前後だろ?」
「だろうな。俺もそう思っていたところだ。三日後なら普通、軍はその前にこっちに援軍をよこしているはずだ。そもそもなぜ、闇の集団は、なぜここなのか。ここで何をするのか。何が目的なのか。全てが謎過ぎる。例え、俺達が戦ったところでどうなる? 多くの血が飛び交うだけだ」
「お前、ここで多くの学生が死ぬと予測するのか?」
「そうだ。相手はプロの殺し屋だ。ただの学生が勝てるはずがない。一部を除いてだけどな……」
デミトロフは、顎に手を置きながら首をゴキゴキと鳴らしながら時計回りに一周させる。
――――多くの血か……。
――――昔、どこかで聞いたことあるな。人の血を使って禁忌を犯したとか……。
――――あれは……そうだ、賢者の石。
――――そもそも、賢者の石は幻の石。成功した者はいないと聞く。
――――人の命をそこまで集めることは出来ない。
――――錬金術の陣もなければ、魔法陣も感じない。




