113/139
113 氷の女王XVI
誰もいない部屋でシャワーも浴びずにそのまま眠りについた。
× × ×
夕日が射し込む頃、エミリーはゆっくりと目を覚ました。
目の前の視界に誰かの姿が映る。
「ん? 起きたか?」
デミトロフが振り返ってエミリーの顔を覗き込む。
「あ、はい……」
「腹が空いた。夕食も近い。帰るから支度しろ‼」
「ふふふ……」
エミリーは微笑む。
「何がおかしい……」
「いいえ。分かりました。すぐに帰りましょうか」
エミリーは起き上がって、ぼさぼさになった髪を整え、髪留めで結ぶと、デミトロフの後を追った。
今日が終わり、明日が来る。太陽が沈み、月が昇る。月が沈み、太陽が昇るのだ。
今日の教訓は、次に生かせばいい。例え、芽が生えなかったとしても、次、生やせばいいのだ。