5-18 ネゴの村
遠くに森が見えたら、ネゴの村は近い。
旅は順調に進んでいるようだ。
ゆっくりとだけど。
と思ったら空に飛竜隊が飛んでいる。
魔族軍、じゃない、ベリーランド防衛隊だったか、戦争は終わったはずだけど。
ネゴの村が精霊の国に侵略されているのだろうか。
森の入口に魔族兵が立っているので聞いてみる。
「ニャー(なにかあったんですか?)」
「反政府活動の鎮圧です。 行かれるのであればお気をつけて。」
反政府? なにか反対されるようなことしたっけ?
行ってみて、聞いてみるか。
森の中ほどにある国境に近い村がネゴの村である。
あちらこちらに兵が立ち、ものものしいことになっている。
ネゴの里という宿に泊まることにした。
部屋に落ち着いた後で、宿の主人に聞いてみた。
「ニャー(なにがあったんですか?)」
「はい、この村はもともとは精霊の国だったんですよ。 侵攻して魔族の領地にして名前もネゴの村になったんですけど、住民の半数以上は精霊族なんです。 で、戦争が終わって領地が確定したんですが、精霊族はそれが納得いかないらしく、この村は精霊の国の村だと強引に主張しているのです。」
「ニャー(なるほど。 ありがとうございます)」
「ニャー(と、いうことらしいです、お嬢様)」
「なかよく すればいいのじゃ。 くに など なまえがちがうだけで、にたようなものじゃないのか?」
「愛国心のようなものではないでしょうか? このあいだまで精霊の国だったのに、急に魔族の国に変わって反発しているのでは?」
「ニャー(国境封鎖はないはずで、自由に行き来できるはずなので、不満は出ないと思っていたのですが・・・ちょっとシルブプレさんに確認してみましょう)」
「ニャー(そうなんですか。 わかりました)」
魔導電話機の受話器を置いた。
「ニャー(戦争を止めたら平和になると思っていたのは早計だったようです。 ほとんどの地域で国境の合意が得られず、小競り合いが続いているようです)」
「ふうむ、こっきょうのごうい とやらが えられれば、なかよく なるのじゃな。」
「ニャー(はい)」
「アル、では そのようにしろ。」
「ニャー(かしこまりました)」




