5-16 ネゴシ草原5
「ニャー(お嬢様、彼女が魔王暗殺を企む 悪の勇者です)」
「そうか、わるいやつじゃな。」
「ちょっ、女の子を人質に取るとは! 魔族はなんて卑怯なの!」
「ん? われはまおうのベアトリスじゃ。 われを ころそうとする おまえのほうが わるいに きまっているでは ないか。」
「あなたが魔王?? ではあなたを倒せば、私たちは元の世界に戻れるのね。」
おいおいおい、異世界勇者召喚かよ。
ろくなことしないな、人族の神。
なるほど、それでチート持ちか。
「ニャー(あのう、たぶんそれ、戻れませんよ?)」
「魔王さえ倒せば・・・魔王さえ倒せば・・・」
聞いてねえ。
「もういいか? では、”ばくれつ”」
「コマンド ”キャンセル” コマンド ”ばくれつ”」
おっ?
こいつも キャンセル が使えるのか。 そして、こいつも 爆裂 が使えるのか。
「ニャー(お嬢様、敵は魔法を無効化できるようです。 まあ我々も魔法攻撃無効化を持っていますが。)」
「ばくれつ がきかないのか。 メテオ もか?」
「ニャー(おそらく)」
「コマンド ”火炎旋風”」
「ニャー(キャンセル)」
魔王の冠の効果で、魔法攻撃は我々には聞かないけど、炎がうっとおしいので、さっき奪ったスキルで魔法自体を消したよ。
「なぜ魔法が効かないの? コマンド ”即死”」
? 即死魔法なんて、格下にしか通用しないから、そもそも冠効果関係なしで通用しないぞ? 魔法を知らないのか? そもそも ”コマンド” ってなんだ?
冠さんに聞いてみよう。
『”コマンド”とは?・・・”コマンド”のあとに続けることによって、存在するあらゆる魔法を使えるようになるユニークスキル』
へえ、いいじゃない。
「ニャー(ユニークスキル”泥棒猫”)」
「コマンド ”キャンセル” コマンド ”浄化”」
危ない、危ない。 魔王とはいえ、種族的に 光魔法 にだけは弱いから、もっと早く使われていればちょっと ヤバかった。
そう、泥棒猫を使った時点で、もう ”コマンド” は、奪ってあるから、後の ”コマンド” は無効なのです。 そして、これからも、ずっと。
「ニャー(お嬢様、魔法が通じるように致しました)」
「うむ、ばくれつ。」
「コマンド ”キャンセル” コマンド・・・え? ひでぶ」
女勇者は爆散した。




