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5-13  ネゴシ草原2


だんだん田舎の風景になってきた。


ゆっくり進んでいるから 気持ちも のんびりしていいなあ。


空気もおいしい気がする。


メリーアンは、赤ちゃん服に魔法陣を仕込んで、魔力の暴走を抑えている。


魔力を抑える魔導具の腕輪を、何度付けても自分ではずしてしまうので苦肉の策としての刺繍だったが、最初からこうすれば良かったと思うほど調子がいい。


半日に一度は抱きかかえて魔法陣に魔力を補充しないといけないが。


自力で召喚できないので、何が欲しいかを、一生懸命ルカに伝えようと話しかけている。


言葉になっていないので、何を言っているのかよくわからない。


メリーアンも ルカも、がんばれ。


子供達は魔族人生ゲームで遊んでいる。


マイルドモードに改良したので、波乱万丈だけど、みんなハッピーエンドになれる。


これでお嬢様の癇癪かんしゃくも大丈夫。


そんなとき、索敵範囲に敵意を感じた。


前方100キロ。  なんだ?


なんだ勇者か。


上位の神様 は生き物全てを愛してくださっているが、下位の 人族の神様 は、なぜか魔族を目の仇にする。


きっと 魔族の神様 と仲が悪いんだと思うが、詳しいことは知らない。


そして勇者(人族)を選んで加護を与えては、魔王討伐にやってくる。


意味がわからない。


確かに国同士、国境争いがあったりはするが、暗殺される覚えはない。


しかも面倒なので魔王城に偽装魔王ダミーまで置いたのに、わざわざこっちにくるとは。


はあ、仕方ない。


ちゃっちゃと片付けますか。


人数は一人。  一人で来たのか。  ご愁傷様。


本体はお嬢様のおそばに置き、分身を差し向けた。




「ニャー(はい、勇者、そこまで)」


「猫?」


「ニャー(魔王の執事です。 魔王に会いたくば、私を倒して行け?)」


「なぜ疑問系? いや、そんなことはどうでもいい。 無駄な殺生はしたくない。 そこをどけ。」


「ニャー(悪事を行っていない魔王を倒すことこそが無駄な殺生ですが?)」


「魔王は悪だ。 人族の敵だ。 それは歴史が証明している。 そして俺は人族の勇者で正義だ。 正義は必ず悪に勝つ。」


「ニャー(そして勝てば正義だ、ですか? これは何を言っても無駄ですね。 どんな洗脳を受けたのやら。 でも攻撃される以上は無実の者でも反撃をしますよ?)」


「できるものなら・・・」


「やってみろ!!」


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