5-3 ゾーク街道2
なんとかお嬢様を宥めすかし、街から逃げた。
見つかったら大勢に囲まれて、旅を続けられなくなりますよ、と。
幸い見つからずに街から出ることができた。
街が見えなくなってから、馬車を展開モードに戻した。
分身に買わせたキマリス名物の銘菓をお茶請けに出した。
パイナップル饅頭に、パイナップル大福に、パイナップルケーキ。
なにこのパイナップル押し。 いいけど。
そういえば、辺り一面、パイナップル畑。
魔族ってパイナップル好きなのか?
かわいいな。
パイナップルといえば、悪魔くんの家獣を思い出す。
あれ、パイナップルなのかな?
悪魔くんといえば召喚、そういえばメリーアン様の召喚魔法の暴走は、シルブプレとルカのふたりがかりで押さえていたんだっけ。
ルカひとりで大丈夫かな。
「パカー!(キャアアア!)」
うわさをすれば。
「ニャー(どうしましたか?)」
「パカー!(メリーアン様が、いきなり腕から消えました!)」
なんだって?!
魔族さらい? 誘拐? 魔力の残滓は?
んん? 召喚魔法?? 魔力の糸を手繰ると・・・
なんだこりゃ?
周囲を警戒。 魔力も警戒。 闇空間も警戒。 問題なし。
「ニャー(問題は解決しました)」
「パカー(メリーアン様はどこですかー?)」
「ニャー(お背中で寝ておられます)」
「パカー(あれっ?)」
アルパカ獣人の背中って、赤ちゃんが乗っていても気付かないんだなあ。
「パカー(すみません、メリーアン様をこちらに移してもらえませんか?)」
「ニャー(かしこまりました)」
アルパカ獣人って、自分の背中に手が届かないんだなあ。
メリーアン様がやったのは召喚魔法の小技、TIPS、豆知識。
召喚魔法の実行範囲で自分を召喚すると、
召喚した場所に自分が移動できる。
ほんのちょっとだけ移動できる。 ただそれだけ。
たまたまやってみたのかな? 自分で思いついたのかな?
才能が末恐ろしい赤ちゃんだな。




