5-1 ゾーク街道
「ニャー(お嬢様、どこか行きたいところはございますか?)」
逃避行ではないので、もうどこへ行こうとも自由なお気楽な、言わば諸国漫遊なのだ。
「そうじゃのう、うみも いったし、やまも こえたし。 われは ようせいのくに に いってみたいのう。」
「ニャー(妖精の国ですか? はて?)」
「アル様、妖精の国ではなく、妖精の村なら、精霊の国にあると聞いた事があります。」
「ニャー(ありがとうございます、ドロシーさん)」
精霊の国なら魔族の国と国境を接している。
「ニャー(では、精霊の国アシュレインに向かいます)」
進路を南東に向けた。
ゾーク街道は魔族の国の主要街道のひとつなので、王都を抜けるまではいろんなお店が立ち並ぶ。
旅に必要な食料や消耗品を、分身を使って買い物させておこう。
買い物を終えた分身は闇空間を通って戻らせ、闇空間に保存した物は収納袋から取り出せるようにしておく。
今日は天気も良くて風も気持ちいいので、馬車は展開モードにして、2階を展望デッキにする。
デッキではパラソル付きのビーチテーブルで、お嬢様がパインジュースを飲んでいる。
あまり飲みすぎるとトイレが近くなりますよ。
クランベールとドロシーが楽器を奏でだした。
異世界の弦楽器のようだ。
どこからとり出したのか謎だ。
するとそれにつられて、ルカが歌いだした。
異世界の歌のようだ。
パカパカ言ってるようにしか聞こえないけど。
メリーアン様もきゃっきゃとご機嫌のようだ。
みんなはしゃぎすぎ。
なに? このカオス。
まあいいか。
やっと平和になったことだし。
魔族といえど平和が一番。
どこかの戦闘民族ではないのです。
と思ったら遠くで魔物の爆発音。
お嬢様が遠くを見つめてニヤリと笑う。
お嬢様はプチプチをつぶすように魔物をつぶす。




