1-7 スードの街2 (※イラストあり)
熱いのを食べたせいで口の中がへんな感じだ。
「ニャー(申し訳ございません。 熱いのを失念しておりました)」
アルはたまにこうして私に意地悪をする。 昔八つ当たりした仕返しだろうか。
串を冷ましてくれていて隙だらけのアルを、とりあえず蹴っておく。
その後、串肉をかじりながら歩いていると、今度は甘い匂いがする。
その方向には、りんごを串に刺して並べているサービスワゴンがあった。
だがりんごの色が普通じゃない、毒々しい色をしている。
猛毒は甘い匂いがすると聞いたことがあるような気がする。
ということはこれは毒リンゴか?
「ひとつくれ。」
「はいよ、お嬢ちゃん。」
おじさんと話すアルに私は笑顔を作ってこう言った。
「アル、いつもせわをかけるのじゃ。 ほうびにこれをたべるがよい。」
アルは驚いた顔をしていたが、そのあと目をうるうるさせていた。
毒とわかっていても主人の命令は絶対だ。 ここは食べねばならぬ。
アルは泣きながら食べていた。 いい気味だ。 けけけ。
しばらく進むと広場があって噴水があった。
私はしばらく水が作り出すアートなオブジェに釘付けとなった。
「ニャー(ここが街の中心部です。 今日はこの街に宿をとろうと考えています)」
宿? お泊りか! 外泊ははじめてだ。 楽しみだ。 わくわくする。
(※注:↑お昼寝したのを忘れています)
アルに案内されて噴水の近くの建物に入っていった。
「ニャー(お嬢様とふたりで一泊、お願いします)」
部屋に案内されたが、期待はもろくも崩れ去った。
魔王城のほうがキレイで広かったな。
しかしアルが魔法で空間を広げ、私のベッドを置いたので、まあまあ許せる範囲になった。
風呂も豪華さはなかったが、もの珍しさが勝って、まあまあ楽しめた。
食事は基本は食堂らしいが、人族と一緒が気に入らないのか、アルは部屋でとることを願い出て、部屋まで持ってこさせた。
私はさっき串肉を食べたからそんなにおなかは減ってない。 珍しいものだけちょっとずつつっつこう。
と思ったら、アルが私に繰り返し野菜を食べるように勧めてきてウザイ。
毒を食べさせた仕返しかもしれない。