4-10 ナグルドツク国境
ドワーフの国ナグルドツクとの国境戦線で、魔族軍第4軍の将軍ガーウルフは、高笑いしていた。
仮魔王が非力な子供になったからだ。
仮魔王だった第二王子が非力な子供に負けたからだ。
魔王の儀に打ち勝ち、新魔王となる自分の未来が、鮮明に見えたからだ。
実は今回のクーデターの首謀者は俺だ。
正確には、頭のいい第5軍将軍が作戦を立案し、我等にもちかけた。
人族軍にコネがあり、勇者達と人族軍を扇動したのは、第6軍将軍だ。
俺は第二王子にコネがあり、第二王子を調子に乗せて踊らせてやった。
魔王に相応しいのはあなたしかいない、われらはあなたに付きます、この策通りにやれば魔王になれます、とか言ってな。
第二王子が魔王や兄弟達を潰し魔王になった後で、第二王子を倒して魔王の地位をもらい、3将軍で立憲、行政、司法のトロイカ魔王制を敷くという計画だった。
あれはウソだ。
俺一人が魔王となる。
やはり魔王が3人というのは異形すぎるのだよ。
第5将軍と第6将軍、え~と、名前はなんだっけ?
まあいいか、どうせおまえたちの出番はもう終わった。
乾杯の毒の酒を飲んだから。
既にもう死体なのだから。
子供を倒すのに3人もいらないよなあ?
三位一体で無敵、だったか?
そうそう、三位一体となって、ほかの将軍を倒す算段だったな。
あ!
そうだった!
魔王の儀で倒すのは仮魔王だけじゃなかった!
ほかの将軍達全員を3人で蹴散らしてから、こいつらを暗殺する予定だった!
段取りを間違えた!
俺一人で ゴーガ や グルガー に勝てるだろうか。
・・・・・・
無理だな・・・
先に魔王を狙うか?
いや、仮魔王になっても、奴等とは戦わねばならぬ。
ぐぬぬぬぬ。
こうなったら魔王側に付いて、仮魔王にゴーガたちを倒してもらおう。
ゴーガが勝ったら、ゴーガの下に付こう。
そして暗殺の機会を狙うのだ。
生き延びるにはそれしかない。
あああ、下手こいたあ。




