4-6 メルーシア国境
大国メルーシアと国境を接する魔族の国の魔族軍第1軍の将軍ゴーガは、魔王の右腕と呼ばれていた魔族である。
ゴーガは通信魔法の内容を聞いて、口角を上げていた。
エドガーの子供たちがなにやら おいた をやらかしたようだ。
エドガーは第二王子に殺され、その第二王子を第五王女が殺したようだ。
なるほど、策と謀略によって、第二王子にエドガーが殺されたと。
結果が全てではあるが、それでは新魔王と認めるわけにはいかぬ。
魔王を上回る力を示してこそ、魔王は襲名されなければならない。
よって第二王子の魔王位は仮のもの、仮魔王である。
その点で言うなれば、第五王女は第二王子を実力で倒した。
正当な手続きを持って、第二王子から魔王位を襲名したことになる。
しかしそもそも第二王子の魔王位は、正当と認められないもの、仮魔王である。
認められない魔王位を継いだところで、当然その魔王位も認められない。
なので現在の第五王女も仮魔王である。
仮魔王が真の魔王と認められるためには、魔王軍全ての将軍と戦い勝利し、実力を示さなければならない。
敗れた場合は勝者に仮魔王の地位が移り、さらに全将軍に勝利することによって、新しい魔王となる。
つまり将軍全てに次期魔王となるチャンスが出たということである。
おそらく第二王子を支援し炊きつけて、謀略によるクーデターを起こさせたのは、将軍のうちの誰かであろう。
こうなることを見越して。
自分が魔王になるために。
第五王女はわからんが。
ともかく俺にも魔王への道が開けたということ。
エドガーには一歩及ばなかったが、第五王女やほかの将軍達に、負ける気はしない。
だが、ここは慎重にならなければならない。
この策を弄した将軍は、仮魔王に対しては実力で勝たなければいけないが、将軍にはそうでなくてもいいのだ。
つまり、魔王の儀までにほかの将軍が不慮の死をとげれば、それだけライバルが減るのだ。
不慮の死に実力はいらない。
どんな策を用いようとも、殺せばそれでよい。
エドガーを殺したように。
よって策、謀略に対する備えが必要なのだ。
よし、第1軍幹部集合、会議を行う。
メルーシアには停戦の使者を出せ。




