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3-6  岬の遺跡


岬が見えてきた。


岬の先のほうに遺跡と塔があるという。


灯台じゃないの?と思ったけど、異世界だから違うか。


この海域を進む船の目印にはなっているらしいから、当たらずとも遠からずである。


ん? 木の隙間からちょっと見えた?


でかくね? 塔、でかくね?


「塔が見えました。 おそらく夕方には着く距離です。」


ドロシーが教えてくれた。


「そして強力な魔物の気配がします。」


あ、この気配は。


シルブプレと目を合わせてうなずく。


魔物は雑魚だが、遠くで魔族の気配がした。


しかも王族。


こんなに気配を漏らすとは、挑発か、力量が低いか、それとも罠か。


隠密にけた使い魔を飛ばして偵察させた。




「いやだー! こんな幽霊だらけの塔に入るのはいやだー!」


「ワン(では私が代わりに行ってきますが、坊ちゃま一人でお留守番できますか?)」


「一人はいやだー! じいといっしょがいいー!」


「ワン(困りましたね)」


力が抜けた。


第11王子のウィリアム様とその執事のベンジャミンさん、何してんの?


待てよ、このふたりがいるということは、護衛のドーベルもいるはず。


気配がないな。


行ってみるか。


「ニャー(ウィリアム様とベンジャミンさんです。 ここをお任せしてもいいですか?)」


「メエー(わかりました。 お気をつけて)」


オレは瞬間移動で塔の入り口まで跳んだ。


「ニャー(こんにちは。 ウィリアム様、ベンジャミンさん)」


「ワン(猫か! 何しに来た!)」


「ニャー(それよりドーベルがいないようですが?)」


「ワン(ドーベルは近くにいる。 もしも我等に手を出したらドーベルが黙っとらんぞ!)」


「猫、ドーベルは塔に入って帰ってこないぞー。 それでじいが見に行くとか言い出したんだー。 そうだ、猫、おまえが見に行ってくれー。」


このバカ王子の執事でなくて良かった。


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