2-11 土の迷宮
街に寄らず直接土の迷宮に向かうことにした。
迷宮は街の中ではなく、少し離れたところにある。
ほどなくして迷宮に着いた。
馬車の預かり屋にも行列ができていたので、もう馬車は収納することにした。
騒ぐふたりを引っぱって迷宮の入り口へと向かった。
そこでも行列ができていた。 さすがにこれをショートカットするのはまずいかな。
みるみる不機嫌になるお嬢様。
「ニャー(でもどうしてこんなに人が多いんですか?)」
「土の迷宮の宝箱からは宝石が出るので、それ目当ての冒険者が多いのです。」
お嬢様の目が輝きだす。 ご機嫌は無事直った。 この街の平和は守られた。
「ほうせきか、たのしみじゃのう。」 鼻歌まで飛び出した。
そうこうしているうちに順番がきた。
冒険者カードを提示して、坑道のような迷宮に入った。
『(ニャー(お嬢様、20階までのモンスターはクランベール様にお譲りくださいますようお願いいたします))』
『(そのかわり、たからばこは、われのじゃぞ。)』
ダンジョンアタックが始まった。
隊列はキサラの街と同じで、前衛が剣のドロシー、後衛に闇魔法のクランベール様、回復役と思われているお嬢様、ふたりの護衛の剣とおもわれている私だ。
表向きの目的は、パーティをくんでのお嬢様たちのレベル上げ、本当の目的は、お嬢様は宝石を手に入れること、私はお嬢様のために魔法強化魔導具を手に入れることだ。
さっそくドロシーが足止めをした砂ネズミに、クランベール様が闇魔法で止めを刺した。
順調な滑り出し。
お嬢様は宝箱を探してきょろきょろしている。
1階の入り口近くに宝箱があろうはずはないのだが、言っては機嫌を悪くする。
言わなくても見つからないと機嫌を悪くするのは確実なので、1階の奥あたりで下階のどこかで宝石の宝箱を見つけて転移させることにしよう。
1階の奥で宝箱を見つけて、無事宝石をゲットしたお嬢様はニコニコしている。
それを見ていたほかの冒険者がイチャモンをつけてきた。
「お嬢ちゃん、その宝箱は俺たちが先に見つけていたんだ。 宝石をこっちによこしな。 さもないと、うおっ? うわっ!」
話の途中で冒険者は、アリ地獄のモンスターに砂の中へと引きずり込まれていった。
「どうして10階のモンスターが1階にいるんだ?」
チンピラ冒険者パーティーが騒いでいるが、お嬢様のご機嫌いかんでは全滅していたのだから、まだ良かったほうだと思っていただきたい。




