2-2 ラズベール領主館2 (※イラストあり)
「おまたせしました。 食堂へどうぞ。」
「ニャー(わざわざありがとうございます)」
アルがこの館の執事(女性)を意識してるようだ。 ぷぷぷ
『(ニャー(彼女は只者ではありません。 ご注意を))』
『(ねんわ? だったらさいしょからこっちでよかったのじゃ?)』
「ベアトリス様、お待たせしました♪」
着飾ったクランベールが抱きついてきた。
え? え? 何事?
隣にたたずむ上品な女性。
「アルフレッド様、こたびは主人と娘を暴漢からお救い下さり、どうもありがとうございました。 申し遅れました。 ラズベールの妻のシルベールと申します。」
『(ニャー(なんでしょう? このベール押し?))』
「ニャー(いえ、偶然あの場に居合わせただけで、全ての功績はお嬢様に)」
『(くんか、くんか、されているのじゃ!)』
「ぜひともお礼をと考えておりますが、さあさ、まずは食事にしましょう。 どうぞ。」
ラズベール男爵の音頭で食事が始まった。
「ふふふ、ベアトリス様、こちらもおいしいんですのよ、ふふふ」
『(あーん、とかいわれてるのじゃ、どうしたらいいのじゃ?)』
「ニャー(とてもおいしい味付けですね)」
『(ニャー(後ろに控える執事(女性)は我々の一挙手一投足に傾注しています。 すごい殺気です。 下手を打てば攻撃されます、手を出してはなりません))』
「あーん♪」
『(もう こうなったら くいまくるのじゃ!)』
「ニャー(この味はお醤油ですね? もしやこっちの隠し味はお味噌?)」
『(ニャー(おお♪ 探していた調味料がまさかこんなところで♪))』
「わかりますか? わが領地の特産品です。」
「こちらのスープもおいしいのですわ♪」
『(ああ、そのスプーンは! かんせつキッスをうばわれたのじゃー!)』
「さてお礼ですが、お困りのものがあればそれをご用意したいと思います。 もちろん金貨でもいいのですが、なにか旅のお力になれるものはあるでしょうか?」
「ニャー(はい、それでは不躾ではありますがお願いがございます。 実は恥ずかしながら旅行中の宿にて荷物を一式身分証明ごと盗まれてしまいまして、私は冒険者カードを作りましたが、現在お嬢様の身分を証明できるものがありません)」
「ニャー(ですので貴族とまではいいません、各街に出入りできるだけのお嬢様の身分証明を作っていただけないでしょうか?)」
「それくらいでしたら私も貴族の端くれ、一筆したためればそのままお持ちいただければ国内であればどこでも、ふむ、いや、冒険者カードのほうが世界共通ですな。」
「丁度良い、クランベール、明日ベアトリス嬢と冒険者ギルドに行って、一緒に冒険者カードを作ってきなさい。 若いうちからレベルを上げる貴族枠なら年齢制限はありませんから。」




