8-20 ブチコロス火山6
≪『我が子をお前達に託したく思う。 我の役割を引き継げば ずっと此処を動けない故、それまでは自由に旅をさせる腹づもりであった。 だが生まれて百年程はまだまだ無敵とは言えぬ。 悪意のものに屈するは目に見える。』≫
≪『故に保護する者が必要だ。 その点、主たちの強さには全く文句がない。 どうじゃ、頼まれてくれぬか。』≫
「アル、このドラゴンは なんて いっておるのじゃ?」
「ニャー(ドラゴンの赤ちゃんを一緒に連れて行って欲しいそうです)」
「おお、あかちゃん♪ わかった、ひきうけるのじゃ♪」
「ニャー(かしこまりました)」
≪『おお、引き受けてくれるか。 礼代わりに この子の名付け親になってやってくれまいか。 それでは、この子を託す。』≫
アルに卵が託された。
卵と言っても、一抱えはある。
え? これって、オレが暖めるパターン?
おなかは邪魔だから、背中に負ぶるか。
おんぶ紐で背中に負ぶる。
みんながクスクス笑っている。
いきなり弊害が。
≪『神命が刷り込まれている故、時が来ればその子は自然に此処へと帰る。 それまでは自由を満喫させてやってくれ。 多少の教育は許そう、では宜しく頼む。』≫
え? お礼って、名付け だけ?
普通こういうとき、もっとこう、すごい宝石とか マジックアイテムとか、くれるんじゃないの?
≪『そうそう、食事は魔力だ。 他のものも食べられるが、ただの嗜好品に過ぎぬ。』≫
「たまごじゃ♪ たまごじゃ♪」
お嬢様が卵をなでて、魔力をそそぐ。
あ、負ぶって暖めなくても、魔力を注げば、それでいいのか。
じゃあ ラプラス の馬車の 床の間に飾るか。
あれ? 外れない? おんぶ紐が固結びに?
「たまごが おちたら あぶないので、まりょくを こめて むすんでおいたのじゃ♪」
お嬢様! あんた、なんちゅーことを。
卵をなでて、微笑むお嬢様。
あー、まあ、いいか。




