8-10 シバリヤ鉄道2
『(ニャー(お嬢様、お待ちください。 サーチ、”猫の目”))』
「ニャー(大丈夫みたいです。 みんな無事に列車内にいます。 ではルカ、一緒にみんなを助けに行きましょう)」
「パカー。」
列車内をずんずん進む。
3両先に、その場所はあった。
「パカー!」
「ニャー(そう、ここが事件現場だよ、ルカくん)」
「ニャー(そして縛られて閉じ込められている部屋は・・・・)」
つかつか進む。
「ニャー(ここだ!)」
倉庫のようなその小部屋には、子供たちがみんな一緒に縛られて入れられていた。
お嬢様は、クランベールと抱き合うような位置だったので(実際クランベールに抱きしめられていたので)、胸で目が塞がれて何も見えず真っ暗だったのだ。
唯一の大人の引率のドロシーは、酔っ払って使い物にならなくなっていた。
そのほかのみんなは、食べ過ぎて動けなかった。
そう、ここは食堂車。
ここを見つけてさんざん飲み食いしたはいいが、お金を持っていなくて、肝心のドロシーは へべれけ で、おまけに線路に異常が見つかったので乗務員はこっちにかまう暇がなくなって、とりあえず逃げないようにここに入れられていたのだ。
オレは乗務員を見つけて謝ってお金を払い、ルカにはみんなを連れて帰ってもらった。
ただし再犯のドロシーは反省を促すため、そのまま倉庫に置いて帰った。
っていうか、ドロシーの飲んだお酒代が、一番高かったのだ。
ドワーフこだわりの高級火酒を飲むなんて。
吐くなよ。 絶対吐くなよ。
そうこうしているうちに 点検で無事を確認し、再び列車は走り出した。
子供たちも絶対 戻しちゃ いけませんよ。
そんな心配はいらなかった。
おなかいっぱいになった子供たちは、みんな満足そうに眠っていた。
何時間か後、やっと列車は、首都 ケルナグール に到着した。
長かった。 ついつい背伸びする。 ニャ~~~。
またきっと駅は寒いよ。 みんな早くコートを着て。
さあ降りよう。 忘れ物のないように。
ん? ルカ、何かを忘れている気がするって?。
まあ、たぶん、気のせいじゃないかな。




