7-15 大樹ユグドラシア7
『パターン・ブルーでしたか。』
『その可能性に思い当たらないではありませんでしたが、できれば違っていて欲しかったです・・・』
消滅の原因は・・・お聞きしますか?
『いえ、もう・・・ あの・・・』
『その場合、ほかの移民星の同族の、別のシップマスターに連絡をとりたいのですが、連絡先、ご存知ありませんか?』
そんな取引先の得意先のようなノリで聞かれても。
同族なのに知らないんですか?
『もしものときに危害が及ばないように、情報は隠匿されているのです。』
警備隊本部に問い合わせればわかるとは思いますが、その場合少々問題がありまして。
この移民の前後に、星間移民は許可制になりまして、問い合わせたら ない可能性、並びに、その場合こちらの移民もバレることになって、
この移民自体も認可されるかどうか、連合で審議になる可能性があります。
『・・・認可が下りないと、どうなりますか?』
たぶんですけど、おそらく純血種のヴァルサン人は、この星から退去させられるのではないか、と・・・。
『・・・そうなる可能性があるのなら、問い合わせは止めてください。 並びに、ここの報告も控えていただきたいのですが、職務上必要でしょうか。』
職務上は必要ですが、見なかったことにします。
もうこの星にエルフは根付いています。 今更いなくなるのは、ぼくもイヤです。
決して報告が面倒くさいとか、見習い新人の仕事量じゃないとか、そんな理由じゃないです。
『そんな あなたに朗報です。 この船のシップマスターになりませんか? 事情をよく知るあなたでしたら、エルフの民のことを憂いてくれるあなたなら、この船の全権をお渡ししても かまいません。』
や~! め~! て~! また、面倒なことを言い出したぞ。
ぼくが この船のマスターになったら。
バレる! 絶対バレる! ロック先輩はゴマかせても、ナナ先輩はゴマかせない。
怖い! ナナ先輩、怖い!
丁重にお断りいたします。
『そんなこと、言わずに。 脳波と心拍数からわかっているんですよ? ジャックさんはクランベールさんのことが お好きだと。 うふふ。』
くっ! 脅しか? 脅しに屈する ユニバースヒューマン などいない!
でも、クランベールさんとの仲を取り持ってくれるというのならば、ぼくは涙を飲んで時代に流されよう!




