6-21 ラクーン街道
「ニャー(それではベル王女、かわいい系の獣人の村を、ご案内いただけますか)」
あれ? あんなことがあったのに、観光を続けるのでしょうか?
確かに猫の執事さんはとってもお強いので、負ける心配はないでしょうが、それでも。
「ニャー(うさぎ村ときつね村は、どっちが近いですか)」
近いのは きつね獣人の村ですが、子供ならまだしも大人のきつね獣人は、小狡くて嫌い、なのです。 御用商人で嫌いなきつね獣人がいるのです。
なので距離はありますが、おすすめはうさぎ獣人の村なのです。
難関はなかなか耳に触らせてもらえないことなのです。
小さい子供と仲良くなればあるいは。
仲良くなって、お菓子で気を引くのがおすすめなのです。
「ニャー(では道案内をお願いします。 テイクオフ)」
わわわ、空から道を見るのは初めてなのです。
え~と、え~と、きっとこっちなのです。
うさぎ村の村長の娘とは、小さい頃に遊んだ事があるのです。
ミミちゃん、今も元気かなあ、なのです。
飛行馬車はゆっくりと村への道にタッチダウン、なのです。
さながら油圧ジャッキジャンプからゆっくりと道に降りる○ッハ号、なのです。
見えてきた、きっとあそこが うさぎ村、なのです。
初めて見ましたが。
え? だって基本、王城生活なのです。
こちらから出向くことなんてないのです。
もしもあっても馬車の中で、窓から顔も出せないのです。
ああ、そこは狼獣人の野性の勘、なのです。
ええ? なにをそんなにビックリしているのです?
わんこだと思っていた?
ひどいのです! 侮辱なのです!
いえ、犬獣人を差別しているわけではないのです。
ただ種族を間違えられるのは、獣人にとって一番の屈辱なのです!
私は誇り高き白狼族の王族の末裔、アナベル・クルーガーランド なのです!
あれ? 名前言ってませんでしたか?
すみません、忘れていました。
それと・・・もうお城を飛び出したので、王族じゃなくなったんでした。
クルーガーランドも もう名乗りません。 王女でもありません。
ただの ベル でお願いします、なのです。
これからよろしくお願いします、なのです。




