表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
122/167

6-20  ガルム王城3


「わん(みなさま このたびは どうも ありがとう ございました。 それでは ささやかですが どうぞ おめしあがり ください。)」


謁見の間で獣王様おとうさまから褒美の金貨100枚をもらい、迎賓室で歓迎会は始まりました。


子供たちの食欲がすごいです。


お待たせしすぎましたでしょうか。


食後のお茶とデザートまで ペロリ です。


「ガオ(ときに皆様の中に病移師やまいうつし様がいらっしゃるとか。 どなたでしょうか)」


「わん(あ、そちらの ねこのかた、なのです)」


「ガオ(左様でしたか)」


バタン、バタン。


いきなり武装した兵たちが部屋になだれこんできました。


「わん(だいじん! これは なにごと なのです?!)」


「ガオ(猫以外を人質にとれ! 猫が病移師やまいうつしだ。 さて猫の人、その貴重なお力で、わが国にご協力いただきたい)」


話の途中で大臣と兵達が、みんなバタバタと倒れました。


またなにかが起こったのです?


またまたキンッキンッと、音もしています。


「ニャー(ごちそうになったので、命は勘弁してあげます。 それではみなさん、おいとましましょう。 ベル王女)」


「わん(はい)」


「ニャー(ここにいたら いつか殺されますよ。 我々と一緒に行きませんか?)」


ここにいたら いつか殺される。  そう聞いて、今まで考えないでいた事が、すべてパズルのようにピッタリ合わさりました。


側室であった母と私が急に重篤な病になったこと。  母は死に、私も死にかけたこと。


兄弟たちの私への態度。  おびえたような目。


家臣たちの私への態度。  恐れるような目。


私の周りで聞こえる不審な音。  気付けば足元に落ちているナイフ。


そして今回の私の恩人に対する狼藉。


私はもうこれ以上、ここにいるべきではない。  いてはいけない。  いたくない。


なので思わずこう答えました。


「わん(はい)」


すると次の瞬間、私たちは船馬車に乗って、バジス湖に浮かんでいました。


あれ?  今のは夢だったのです?


あ、違います。  私はドレスを着たままです。


それに子供たちの口の周りが、ホイップクリームまみれです。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ