6-9 ミズル村2
集団といっても3人。
ドロシーが ひとりで無力化した。
3人とも獣人だった。
詳しいことは知らされず、金で雇われただけのようだ。
村の警備に引き渡して終わった。
やはり狙いはベルのようだ。
ほおっておいても病気で死んでいたベルを、なぜわざわざ殺そうとするんだろう。
後で さっき見つけたあの店に行ってみるか。
みんなが寝た後で 宿を抜け出して、とあるバーに行った。
元の世界の、とある創作物の中と同じ名前のバー。
ここには きっとオレとよく似た同志がいるはず。
バーの中はごく普通の作りだった。 ただし日本では。
異世界でこの作りも、バーテンダーも、初めて見た。
バーテンダーはグラスを磨きながら、目も向けず言う。
「いらっしゃいませ。」
ええと、カウンターの一番奥の猫のいる席に、猫を抱き上げて座る。
そして頼むのは、
「ニャー(ドライ・マティーニ。 オリーブ抜きで)」
カクテルが来たら、オリーブ抜きを頼んでおきながら、映画のMASHばりに懐から小瓶を取り出し、自前のオリーブを入れて、一口飲む。
目が合ったマスターにコインをすべらせ、すかさず言う。
「ニャー(カルーア・ミルク。 ミルク抜きで)」
マスターがグラスを渡しながら、あごで席を指す。
よし。
その席には酔っ払いの爺さんがいた。
猫を席にもどし、ポパイを白髪にして潰したような爺さんの席に、グラスを持っていく。
「ニャー(おごるよ、爺さん)」
グラスと一緒に金貨を渡す。 本当は折りたたんだお札なのだが。
爺さんの目が開き、オレを睨む。
「なにが聞きたい?」
この爺さんは情報屋。 このバーはそんな輩の隠れ家なのだ。 物語では。
こいつらたぶん、そんな趣味遊びをしている異世界人なのだろう。
「ニャー(すごいですね、完璧です。 でもこれ、異世界で出来る人、いるんですか?)」
爺さんは、相好を崩して言った。
「いや、今日が初めてだ。」
でしょうね!!




