6-4 ゴーズ砂漠2
アルフレッドは宇宙警備隊に目をつけられていた。
一つはこの星では他に類を見ない、宇宙警備隊員に匹敵するほどの武力を持っていること。
もう一つは異世界という、次元を超えてやってきた者であること。
しかしこの星の一つの大陸の一つの国の王の部下を演じ、星を侵略するような悪意が見えないため、ただそれだけでは断罪できず、監視するに留まっている。
念のため本部に確認したところ、次元を超えた宇宙犯罪者の可能性も消えた。
こいつの意図や目的が全然見えない。
なので監視業務に戻る。
光の玉は、メリーアン、ジャック、ティンプルに帰ってきた。
こいつのそばの生命力が弱い者の潜在意識に、その補強を兼ねて寄生しているのだ。
本体の意識はそれを認識せず、今日も元気に遊ぶのだろう。
ただジャックだけは、本体の意識の弱さと英斗のコントロールミスで、意識が混濁してしまっている。
失敗の発覚を恐れた英斗は、今日も一生懸命ジャックを演じる。
なお、アルフレッドが、ただの趣味で楽しんで執事を演じているだけということは、きっといつまでも理解されることはないだろう。
ゴーズ砂漠に朝が来た。
アルフレッドは、岩場に住むミーアキャットの家族と一緒に朝日を浴びていた。
メリーアンはその様子を見て、やっぱり意味がわからんと不貞寝した。
馬車は今日も砂漠を進み、ようやっと遠くにオアシスの村が見えた。
しかし、蜃気楼だったようで、行けども行けども村は近づかない。
この馬車が普通の馬車だったら困ったところだが、改造に改造を重ねたこの馬車は、今や6LDKの冷暖房完備、電気もガスも水道もあるので、全く困ることはない。
のんびりと進むことにする。
と思ったら、行き倒れ発見。
しょうがないので助けることにする。
ラクダも大人も死んでいたが、みんなに守られるようにしていた子供は、かろうじて息があったので、回復させた。
獣人の子供のようだ。 白狼族だろうか。
うん、この子は、獣人の村でポイしよう。
なかなか目を覚まさない、みんなが看病しているワンコを乗せて、砂漠を進む馬車の御者台で、アルフレッドはそう思った。




