1-1 神様に悪意を感じる
不慮の事故で死んでしまった。
気付けば白い空間にいた。
なんでも死んだのは神様サイドのミスらしい。
それはまあいい。 良くないけどいい。
生き返すのは無理なので異世界に転移させるという。
いろいろと疑問はあるが、それもまあいい。
おわびに3つ、実現可能な希望を叶えるという。 それはラッキー♪
かねてから主人公に仕えて完璧にサポートする映画やアニメの執事に憧れを抱いていた俺は、こう願った。
1つ 完璧サポート能力を持った執事になりたい。
2つ 主人はどうせなら美少女がいい。
3つ 主人を守れるように、誰にも負けない戦闘力が欲しい。
これで簡単に死ぬこともなく、美少女仕えの執事が満喫できるはず。
認識が甘かった。 ハチミツ漬けの砂糖菓子のように甘かった。
確かにこの3つは守られた。
しかしこの3つ以外はどうでもいいとは言ってない!
完璧サポート能力を持った執事だが、
種族は猫のモンスターだった。
主人は美少女だが、
ワガママ放題の魔王の娘で、性格は最悪だった。
誰にも負けない戦闘力を持っているが、
現在は戦争中で落城寸前の魔王城におり、今も人族に攻め込まれている最中である。
もっと平安の世で穏やかな世界がよかったなあ~。。
神様に悪意を感じる。
それとも贅沢を言い過ぎたか?
3つの贅沢を叶えるために運を使いすぎて、ほかの運がなくなったか?
そうかもしれない。
もしもそうなら、もっとささやかな願いにしておくべきだった。
昔話でもいつも欲張りじいさんは手痛いしっぺ返しを食らう。
せっかく有能執事(自称)になれたんだから、もう欲は捨てよう。
有能執事は、ご主人様一筋。
さあ、ご主人様の睡眠を邪魔する人族の暴徒どもは、皆殺しにしよう。