異世界(マンガ)の世界に転生しました!?
マンガ版はこちら
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ある日突然
それはもう突然、気がついたら別人になっていた。
持っていた身分証を確認すると、「帝都高校 1年 母部田 一」と書かれている。
生年月日から計算すると十六歳の男子高校生らしい。
頭の中にある、以前見た映画のような記憶によれば
両親は海外出張のため日本の1Kのマンションに一人暮らし。
送られてくる月々の仕送りの中から捻出するお小遣いは5千円程度。
鏡に映った顔を見ると、可もなく不可もない。
まさに地味…モブ顔といったところか。
いや「この世界」での私の役割はモブに違いない。
なぜならこの世界には私が現世で大好きだったサッカー漫画「ストライカーM」の登場人物たちがいたから!!
しかも同じ学校の同じ教室にライバルで超人気キャラクターの有馬文吾や及川義弘がっつ!!
あの!有馬文吾や及川義弘だよ!!
ストライカーMは今から三昔前に連載が開始された、国民的サッカー漫画で、それを見てサッカーを始めたプロ選手も数多くいる作品でね。
同人誌の世界では、有馬×及川のカップリングは最多サークルを誇っていて、現世の私の部屋にも四十冊は超える薄い本を隠し持っているのは彼らには秘密だ。
そんな世界の
モブに
私はなっていた。
母部田 一子
それが私の現世、いわゆる中の人の本名。
普通こういう転生ものとか高校生とかがなるんじゃないの?
こちとらそろそろ激しい環境変化についていくのも大変になってきた五十三歳。
学生時代にホームズが好きすぎて、聖典を言語で読むために英語を。
ギリシャ神話のアニメにはまってギリシャ語を。
三国志のゲームにはまって中国語を学び、他にもアニメやマンガの聖地巡礼に困らない程度に数ヶ国語はなせる。
そんな行動力と言語力のおかげで、友達もふえ、その友達の助力もあって、コンサルティング会社を立ち上げて一応女社長として成功した部類に入ると思う。
会社は自社ビル。
自宅はこだわりの一戸建て。
海外に別荘もあったし。
世界中にオタク友達もいた。
身奇麗にしていたせいか、海外の人から見れば若く見えるせいか、何度か求婚もされたけど
恋愛はするものじゃなく遠くから愛でるもの!
というポリシーの元独身を貫いてきた(ここ重要)
同人誌即売会でであったお嬢さんたちからは、理想の貴腐人と呼んでいただいていた。
なのにっ!
なのにっ!!
マンガの世界でのほうがグレード下がるってどういうことよ――――!
ってイマジナリーフレンド(空想世界のお友達)に愚痴くらいはいてもいいわよね!