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ギッシュ

作者: ころまる

もうすぐ死ぬ、

やってしまった、、。

威勢よく救出を買って出たのはいいがもはやどうにもならない。

王はもう逃げ切っただろうか、、。

もはやどうでもいいが、、

もうすぐ死ぬ、、、、

その事実は変わりそうにもない、、、


部屋には数人の兵と王の娘と俺だけだ、、、。

さて、一時間後か、二時間後か、それとも次の瞬間か、、

敵がなだれ込んでくるまでなにをするか、、、

自殺するか、娘を犯すか、敵に玉砕するか、、、どれもめんどくさい、、、。

決めた、遊ぼう!

「、、、おい、、」

若い兵士に声をかけた。

中肉中背の何の変哲もない男、名前も、素情も知らない、こんな無謀な救出隊に加わったという馬鹿な男

ということだけ良くわかる。

「もうすぐ敵が来る、おまえならこの状況、、、どうする?」

「、、、私に指揮権はありませんよ」

「わかってるよ、、、遊びさ、、」

「、、、、もうすぐ敵がなだれ込んでくるというのに、あなたの遊びに付き合わされて頭を使わないといけないのですか?」

むう、口が悪い男だな、、、

「そういうな、、、わかった質問を変えよう、王娘をどうやったら無事に王のもとに送り届けられると思う?」

「、、、、、、そんな質問でいいのですか、指揮官が助かる方法ではなくて、、、」

つくづく毒舌だな、この男は、、、。

「まあそう言うな、、、これでも多少は王に義理があるのさ、、多少はな、、、、。」

「、、、、遊びですか、、、、、。」


そういうと男はしばし沈黙した。


「遊びというなら、いくつか案を考えました、まず一つ目は王娘以外全員が死ぬことです」

「ほう、、どういうことだ、、、」

「敵が来たら、王娘に命乞いをしてもらいます、、大事なことは王娘以外が全員死んでいるということです、

もう助からないので自害を強要されたから、みんなといっしょに死ぬふりをして、来るのを待っていたとか、あとは無理はありますが、自害を拒否し逆に兵たちを殺して待っていたでもいいのですが、とにかく一人でいることです。」

「なぜ一人でいることが重要なんだ?」

「もし私が敵の指揮官だとしましょう、この部屋に乗り込んだとき、兵に守られおびえているより、自らの力で生きる意志を示せば、少なくとも興味は湧きます、滅亡寸前の国の王娘なんて人質の価値なんてないに等しい、何もせずにいれば犯されて終わりですよ、、、。」

、、、ふむ、身もふたもないが、、、確かに。

「、、、別の案は、、」

「、、、我わらが言うんですよ、娘を殺すな、逃げた王は国は滅んだが国の財宝を根こそぎ持って行ったと、そして何よりも娘を大切に思っているとね、、、。」

「、、、、逆に人質の価値はあると思わせるわけか、、、」

「あわよくば我々も助かるかもしれない、王との交渉に使えると思わせることができればですがね、、、」

なるほど、見た目は地味だが考えることはなかなかあくどい男だな、、、

「、、、、、一応聞くが、、まだ他にあるのか、、何かいい案は」

正直この短時間に二つも、しかも絶対に失敗するとは言い切れない案を出してきて驚いたが、もうない

だろう、ただなぜか妙な期待をこの男から感じていた。

「、、、実はあと一つだけ案があります、しかも必ず成功する案がね、、、」

「、、、、、必ず、、だと。」

「ええ、必ず」

「、、、、どんな案だ?」

「その扉から出て、敵を打倒して城を脱出するんです。」

、、、、、

、、、、、

、、、、、

何をこの男に期待していたのだろうか、、数分前の自分が滑稽に思える。

「、、、そうか、確かにその手があったか、、、、、、、。」

そういうと思わず小さく笑ってしまった。

扉の裏で何やら音が聞こえる、大勢の足音だ。

「どうやら終わりが近いようだな、、、、。」


「、、、どうしますか、、、。」


不思議と迷いはなかった、まあ部隊長には取り立ててもらったがそんなに王に義理があるわけではない、

王娘に至ってはこんなに近くで見たのは初めてだった。


なので不思議だ、人間は死ぬ間際に本心が出るというのは聞いたことがあるが、

俺は善人だったということか、、、それとも死にざまに酔ってるだけなのか、、、


「、、、決めたよ、第三の案で行こう、、。」


「、、、そうですか、、。」


「、、、最後に教えてくれ、、、名前は、、」


「、、、ギッシュ、、、」


ギッシュ、変な名前だ、ギッシュ、、ギッシュ、、待てよ、聞いたことがある名前だ


たしか、、、たしか、、、剣、、、


「、、、じゃ先に行って待ってますよ、、城の外で会いましょう」


そう言い残し、男は颯爽と駆けて行った、、、。


















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