ご飯ぷりーず
「お腹、すいた」
只今夜の8時くらい。
放置プレイです。
誰もここに来ない。
「ギュルルルル」
はあ、もうお腹すいたも言いたくなくなってきた。
ボーッとそんなことを考えていたら、ぽいッと、パンが天井から降ってきた。
「セネ様、大丈夫ですか?」
穴だらけの壁からするりと小屋に入って来たのは小柄な少年だった。
明るい茶髪に綺麗な服を着た少年。
確か、セネっちを助けてくれていた少年だと思うんだけど。
「セ、セネ様?大丈夫ですか?も、もしかして頭を蹴られたとか?
い、医者は呼べないし。不甲斐ない僕ですいませんっ」
こんなヤツだったっけ?
まあ、いいや。
「ご飯please」
あ、気絶した。
***
ご飯を食べたかったので少年を起こした。
「セ、セネ様っ、どうしたんです?
ほ、本当に頭を蹴られましたか?」
「いや、ご飯頂戴」
「え?あ、はいっ
どうぞ、今日のご飯です。」
少年がポケットからだしたのは、黒っぽいパンと、赤いジャム。
あと、美味しそうな焼き芋だった。
「すいません、いつもは魚が買えたんですけど、今日は芋しか買えませ・・」
パクリ
ホクホクとした焼き芋は甘かった。
寒かった身体にジンワリとしたあたたかさが染みるようで。
もう、なんか泣きそうだった。
「セ、セネ様、どどうしたんですか?
な、泣いていますよ?」
あーもう、ちょっとほっといてよ。
その夜は久しぶりに泣いた。