日常的な
あるぅ挽き肉
森ぃのなカンペン
くまさんにぃんにく
でぁあ玉ねぎ
花咲ぅ森の道ぃくわ
熊さんに、で、あ、あ、玉ねぎ~。
口ずさむのはあの有名な曲の替え歌だ。
(んー、今日は特に大したことはなかったなあ)
雪は曲がり角を歩きながら考えていた。
防水性の高い、そしてそのぶん高い時計を見ればまだ午後一時。
今日は大したことはなかった、と思うには早い時間。
(暇だ、超暇。ゲームも昨日クリアしたし、何しよっか)
枯れ葉はパリパリと音をたてて粉々になる。
家に帰るかあ、とツイートしたらスマートフォンをスリープした。
赤い屋根の一軒家。こじんまりとしたごくごく一般的な家。This is my home☆
「HELLOはろー、たっだいまー」
「うるせー、そして英語がウゼェ。」
「ひどいじゃないか、弟くん。お姉ちゃんは悲しいぞ☆」
イヒヒヒと笑いながら、私は麟太郎の肩をバッシバッシとたたく。
このイケメソな不満顔君がうちの弟、山田麟太郎君である。
風呂掃除でもしていたのか、ピンクのゴム手袋をはめている。なんて親孝行な息子だろう。
それに比べて、フラフラしている姉(笑)
パタパタと二階に上がると、パソコンを起動。
オンライン農場ゲームを始める。
(さてさて、倉庫は完成したかな?)
* * * *
「おーいバカ姉貴、飯できたぞ」
おお、いかん。熱中し過ぎてしまったみたいだ。
パンがもう少しでできたのになあ。
今日のご飯はカレーだった。チョー旨かった。
ぽけーっと考えながらお皿を洗う。
両親は海外で、家事は当番制なんだよ。
ちなみに麟太郎とは一歳差だよ。あっちの方が背は高いけどね。
二階に上がるとパンはもう焼きあがっていた。
ラッキーなことに三個もできてる。
ヒャッホウ!