3話 入学式
「ホラ、隼人!!遅れるよ!!」
「わーってるよ・・・・うるさいな・・・」
今日は入学式。真新しい制服に着替えている隼人。
母に言われて荷物を持って部屋を出た隼人はすぐに玄関へ行き、靴を履く。
「忘れ物は!?ない!?」
「大丈夫だよ・・・どんだけ心配してんの?」
呆れた隼人は一足先に家を出る。
{今日から・・・・高校か。叔父さん、おれ・・・・野球部はいるよ。}
神奈川県立横須賀篠谷高等学校。生徒数約900人越えの県立高校。特別強い部活動があるわけでもなく、偏差値も普通。平凡な学校だった。
入学式が始まる。隼人はそんなことには興味はない。新入生代表の言葉、校長の言葉、その他諸々。 時間は刻々と過ぎてゆく。気がつけば入学式は終わっていた。
{はぁ~~、だり・・・・次は。えーと・・・なんだっけ。ああ、そうだ。確か割り当て教室に行ってHRだっけ?}
流れる新入生の波に乗って自分の教室まで流れていく。
「えーと、1年・・・・6組か」
波から逃れ、自分の教室に入る。
「席は・・・とあったあった。」
どさっと、鞄を置き、席に座る。
すると、
「よう、水江隼人君。よろしく。」
不意に後ろから声をかけられた。
{え?何でおれの名前しってんの?}
隼人は後ろを振り返った。
そこにいたのは_
「俺のこと、覚えてる、よな? 斎藤俊斗です。」
「あ、あの変な、いや、この前会った人。」
「今最初何を言おうとしたんだ?傷つくよ・・・・まあまさか前後の関係になるとはな。」
「たしかにね、まあよろしく。」
「よーし、席に着けー」
そんなことで、すぐに教師が来た。
「これからよろしく、担任の岩井だ。」
はあ。と、隼人がため息をつく。
{まただるいの始まったなぁ・・・}
ふとつぶやく。
「ボール投げたい・・・・」