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アズネスモQ

作者: 守山みかん

「『アズネスモQ』は、我が社の企画力の集大成なのであります!」

と、三沢部長が宣言した。


「『アズネスモQ』は、決して『一口羊羹』的な発想から生まれた商品ではないことを、強く断言いたしまするぞ」

と、村木主任も、三沢部長に続いた。


「『アズネスモQ』は、現在、低迷しつつある日本的、或いは伝統的文化の蘇生に、大いに貢献することでしょう」

と、平岩課長も村木主任に続いた。


「『アズネスモQ』さえあれば、面倒な情報管理を一切省くことができるほか、画期的な人材マネージメントの実現が可能です」

と、須藤係長も平岩課長に続いた。


「『アズネスモQ』こそ、多忙である主婦たちの救世主と呼ぶにふさわしいわ」

と、中部地区専業主婦代表の岡部波恵が叫んだ。


「何言うとるか! 『アズネスモQ』は単身赴任サラリーマンの大きな味方や。これこそ男の浪漫やないか」

と、河内地区代表のおっさんが絶叫した。


「あらま、と、何と荒っぽいことでございましょう。言うなれば、『アズネスモQ』は、地球に優しい構造となっておるのであります。すばらかしい発明なのですぞ」

と、成瀬教授が提唱した。


「『アズネスモQ』はノンアルコール、微炭酸仕様となっておりますです、はい」

と、鼻デカのお茶の湯博士が、ご自慢の顎髭を撫でながら言った。


「『アズネスモQ』を使って、レアチーズケーキを作ってみました。美味しいですよ」

と、自称パティシエの福田香代が得意げに語った。


「『アズネスモQ』はアルカリ泉、効能は素肌美人になれまーす!」

と、パネルを持ったウサギちゃんがウインクした。


「『アズネスモQ』を1ヶ月飲み続けましたぁ。なんと、七キロも痩せてしまいましたぁ」

と、痩せても巨体のレイチェル・キング叔母さんが言った。


「『アズネスモQ』、感動しました! 世知辛く生きる自分が恥ずかしゅうございます」

と、伊勢の謎の行商人、花岡鉄男が男泣きした。


「『アズネスモQ』で、肩こりが治りました」

と、ニートの森野君が声を大にして叫んだ。


その途端、会場に居合わせた全ての観客たちが、しーんと静まり返った。


「『アズネスモQ』には、肩こりを治す効能などありません」

と、三沢部長が森野君の発言を指摘した。


森野君は、「しまった!」というように、慌てて口を両手で塞いだ。

だが、すでに遅かった。


「どうやら、お一人だけ『アズネスモQ』をご理解いただけていないお方がおられるようです」

と、村木主任が批判した。


「何で部外者がいるのよぉ!」

と、ウサギちゃんが悲鳴を上げた。


「『アズネスモQ』を知らんとは、そりゃ日本人やないで!」

と、河内のおっさん。


その後も、続々と批判の声が森野君に寄せられた。


「よそ者め!」

「反社会的だ!」

「背徳だ!」

「謀反だ!」

「反逆だ!」

「曲者だ!」

「人間じゃないわ!」


こうして、森野君は追われる身となった。

その後の運命やいかに?


皆さんのお宅では、『アズネスモQ』は大丈夫ですか?

一家に一台、ぜひとも『アズネスモQ』をお薦めします。


(了)


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