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【番外】原始魔法とマジカルマインドとマーシャルアーツって?

なかなかボクっ娘の区切りがつかないので、一旦番外はいりまーす!

(題材はボクっ娘についてです)

 満面の笑みを浮かべるミメットと、黒糖かりんとうに完全にハマったネフ。


「お久しぶりですー! そろそろ三回目があるんじゃないかと思ってスタんばってましたっ! ミメット・アズお姉ちゃんですっ!」


 ミメットは両手を上げて喜びを表現した。


「現在充電中のアシスタントのネフ・インディゴです。どもどもー(棒読み)」


 いつもの様にぴょこっと頭を下げるネフ。


「今日はですね、番組の途中ですが的に近況報告です。現在『ボクっ娘イシェルの異世界転生者討伐作戦』を進めている関係で、こちらが中断となっております。区切りがついたら戻って来る予定との事ですが、その区切りがつかずに戻って来れない状況なのですね」

「そうなんですよねー。やるならこちらも並行してやるべきです。そうしないと、また話を忘れちゃいそうですし」

「それね、切実な所だよね。それは気を付けてもらいたいとして、出ましたよー! わたしのエキドナがボクっ娘に!」


 ミメットがバンと机を叩いて身を乗り出す。


「えっ!? あー、エキドナって召喚獣の事ですよね。あれってミメットさんのだったんですか? 召喚したのは別の方っぽいですけど。というか、別作品についてここで論じるのってオッケーなのでしょうか。時代的な時系列とか」

「リュウドウね……、ここで話しても別にいいんじゃない? わたし的には全然オッケーだと思ってるよ。んー、まぁ。わたしのって言うかエキドナはわたしのメイン召喚獣だから。もちろん他の誰かが召喚するのは自由(気分はよくないけど)なんだけど」


 ミメットは頬杖をついてぷいっとそっぽを向いた。


「そうですか。でも、今回のエキドナの戦いはいい感じでしたね」


 ネフは何故か不機嫌そうなミメットの機嫌をとろうとしたのだが……。


「はぁ? 何言ってるの!?」

「えっ、すみません(何か悪い事言っちゃったのかな?)」


 ミメットは頬杖をついた状態から、のけぞる様にネフに振り返って言った。

 ネフは両手で壁を作る様に両手を前に出し、ちょっと困った表情をする。


「リュウドウがもっとうまくやってれば、エキドナは負けなかったと思うよ! わたしならもっとうまくやれたと思う。あんな訳わからないオバサンに負ける訳ないもの!」

「セローニャさんでしたっけ(エキドナが勝ったらストーリー的に意味不明になりそうですけど、そういう事は無視なんですね)」

「さんとかいらないでしょ。大体魔物だよっ! 魔物っ! 何で魔物が仲間みたいに一緒にいるわけ!? それと、ルビーは召喚獣戦について何で一言も言わないわけ!?」

「いや、そんな事わたしに言われても……。エキドナがやられて無念なのはわかりますけど、ひとまず落ち着いてください! これでも食べて」


 ネフはミメットにかりんとうの入った袋を差し出した。


「ふー(もぐもぐ)」




「はいっ。わたしのかりんとうを食べて、お姉ちゃんが落ち着いてくれたところで、一つ質問してみたいとおもいます」

「ふむふむ、なにかね?」


 両手を揃えて差し出すネフに、ミメットはないヒゲをさすり、そのささやかな胸を張って応えた。


「本来は、精霊魔法を扱うわたしが知っていないといけない事なのかもしれないですけど、ノートリアス・デーモンなどの魔物が使う原始魔法って言う、魔法学校で一番最初に少しだけやる低水準の魔法が出て来ていますよね。あれってそんなに使える物なのでしょうか」

「原始魔法かぁ。確かに魔法学校ではちゃんとは教えないよね。原始魔法は人類が扱うには余りにも不便過ぎるから」


 因みに、魔法学校でも一番最初は原始魔法から入るのだが、魔力を感じて操作する事を学ぶために留められる。

 そして、きっかけをつかんだ子供達は、その後瞬く間に成長して行くが、最初のきっかけを掴むのが結構難しく、魔導の才能を持ちながら、きっかけを掴めずに学校を去って行く生徒もいる。


「そうなのですね。すると、魔物は原始魔法だけを使ってるんですか?」

「そそっ。作中でもさらりと触れてたけど、魔物や召喚獣と、人類では魔法に対する概念が違うの。魔物は魔法の構造がどうとか考えたりしないで使ってるからね。ギズマなんて要のツノを破壊されても魔法を使おうとしてたでしょ? 何で使えるかなんて理解してない証拠ね。でも、人間は理屈で考えないと基本的には魔法は使えないものなの。切り口の違いってやつだね。だからエキドナが属性とか理解してないのはしょうがないよ。だけど今度召喚したら教えておかなきゃね」


 ミメットは説明しながらも、さりげなくエキドナの擁護をした。


「なるほどっ! よくわかりました。もう一つ、セローニャがマジカルマインドって言うものを使ってましたけど、それも聞いた事がないんですよね。それとボースでしたっけ、直前の魔法を複数展開させる効果がある様に感じられましたけど、それも魔物由来なのですか?」

「マジカルマインドは、魔導の心理とも言って意味も文字通りのものなんだけど、魔導の根源を理解した先に見る事ができるものだね。心理を知る事で、形で理解してたつもりの魔導が、実はもっと自由なものなんだって事に気が付くの。魔物由来って訳じゃないんだけど、これも切り口の違いなんだろうね、理屈から入る人類には遠い場所かも。でも、魔導を極めて行けばいずれはたどり着くはず。そういうものがあるって知ってると早いとは思うな。召喚士のわたしは当然その存在は知ってたけどね。ふふん」


 ミメットは召喚獣使いのため、理論理屈にはとても詳しい。

 ただ、後輩に対してちょっと知識を自慢する悪い癖が出ている様だ


「ふむふむ。その心理を知っているお姉ちゃんは、マジカルマインドを使えるんですねっ! 今度わたしにも教えてくださいっ!」

「え? いや、わたしは精霊魔法は専門じゃないから使えないけど、それがなにか?」


 後半逆ギレである。


「はい残念! ミメットお姉ちゃんには使えないと言う事でした。では、ボースについてもお願いします」


 ネフは驚きもせずそれをスルーする。


「(地味に嫌味な感じがするなぁ)んー、ボースは魔法って訳じゃないんだけど、かけ言葉みたいな感じ?」

「疑問形? ちょっとよくわからないですけど、気合みたいなものでしょうか」

「そんな感じかな。酒場とかで隣のテーブルの料理見て、あれと同じものをちょうだいって感覚なんだよね。重要なのは望むこと。理屈で考えてない魔物や召喚獣は、自分が望む事で効果が得られるからね。なぜそれでできるかって言うと、体の構造にあるみたいだけど。進化ってやつ? あぁ、そうそう。スフェーンがアローラ先生から、魔法をコピーして展開させる方法を学んでた事があったでしょ? つまるところそれが人類版ってとこだね」

「そんな所に伏線が!? 適当に思いついた訳じゃないんですね」

「ストップ! それ以上はダメっ! この世界が崩壊するよ!」

「えぇっ!? まさか、何か三文字の滅びの言葉みたいじゃないですか。目がぁー! みたいな」


 その刹那、世界が轟音を立ててゆさぶられた……! 気がした。


「まぁ、冗談ですが。同じ結果を得るための道は一つじゃないって事だよね。人も色んな道を通って成長するのと一緒」

「おぉっ、今一瞬お姉ちゃんが偉い人の様に見えました」

「一瞬? え?」

「え? いや……」



「もう一つ、マーシャルアーツについて聞いていいですか?」

「うん。もう一つっての、三回目だけどいいよ。マーシャルアーツって言うのは、武の心得でどんな武器にもあるんだけど、エキドナが使ったのはその中の一つの武器召喚だね」

「武器召喚……召喚魔法みたいなものですか?」

「召喚って名前は付いてるけど結構違うね。武器召喚は魔力を使って具現化させるの。見た目には召喚してる様だけど、実は呼んでない。具現化には強いイメージが必要で、イメージの強さと込められる魔力の大きさで強さが変わる感じ。どんなに魔力があっても、イメージが弱かったらあんまり強くないのよねー」

「イメージですか。何となく想像魔法と似てますね。わたしはそんな魔法がある事を知りませんでしたが」

「あれこそ、その場で異世界転生者のルーが思いついた魔法名だからね。彼は多分深く考えてないよ。今の段階であれが何かって言えないので、話が進んで解明されるのを待ってください」

「それって、考え中って事ですか?」

「いやいや、そこまで出たとこ勝負なわけないじゃない。それこそ設定の要なんだから。時期が来たらって事だよ。うん。(だよね?)」

「ふむ。わたしがマーシャルアーツを学びたいって思った場合、どうすればいいですか? バトルチップでしたっけ。ああいうのを使ってみたいです」

「バトルシップ ヤマトの事かな? それはネタバレするからここでは言えません。これが終わってからこっそりとなら……」

「あ……。ごめんなさい。聞いちゃいけない事だったのですね。と言う事は、今後もマーシャルアーツが出ると思っていいって事になりますよね」

「しまった……。うーん、それはどうだろう」


 顔がひきつるミメットに、スタッフからメモが手渡され、そのメモに目を通すミメット。


「なになに? ……えっ!? えっえっ!? うそぉー!」


「どうしたのですか? ネタバレさせようとしたバツとして、廊下でバケツ持って立ってろみたいな事でも書いてありました?」

「なにそれ。いやいや、そんな事よりね。ムフフー」


 ニヤニヤが止まらないミメット。


「何ですか? ニヤニヤして、いやらしい顔になってますよ」

「だってー。これをニヤつかずにいられますかって事ですよ!」


 ニヤニヤしながらメモをネフに渡して見せる。


「すごぉーい! ミメットお姉ちゃんが、ボクっ娘に登場するって書いてありますよー!」

「ねー。困っちゃうなぁ。きっと仕事さえきっちりやってれば、いつかは報われるって事なんだね」

「カッコして通行人Aって書いてありますけど、どういう通行人なんでしょうね」

「え?」


 ネフからメモを奪い返し、眉間にしわを寄せてメガネを掴んでメモをガン見するミメット。


「これは何かの間違いでしょう。わたし程の激レア召喚士が通行人Aなんてありえません。きっと通行人に偽装して重要な任務につくとかそういう事だと思うよ」

「そうでしょうか」


 ネフは悪意を持ってではなく素で言ったのだが、ミメットはネフをじろりとにらんだ。



「もう一つ、いいですか?」

「四度目だけどいいよ。それで最後にして欲しいけど」

「ずーっと前から気になってたんですけど、何でこの世界の魔導士って手に杖とかを持たないんでしょう。魔力増幅のアクセサリーもないですよね?」

「なんだ、そんな事? 杖は殴る用とかで持ってても別にかまわないよ。でも、荷物は少ない方がいいでしょ。杖って言っても結構重いし。竹ぼうき位の重さな訳ないじゃない」

「でも、両手杖じゃなくても短い杖もありますよね。アクセサリーだって属性石とかで威力が強くなるんじゃないですか?」

「そうだね、確かに普通はそう思うものだろうけど。でも、それは禁忌! なのですよ。この理由はわかりますか?」

「ごめんなさい。全然わからないです」

「ネフは本当に学校の勉強しかできないんですね。いいでしょう。説明しますので心して聞いてください」

「……はい」


 ネフは怒られた子供の様にしょんぼりとした。


「単純な事ですよ。属性アクセサリーとか使って魔力増強したり、属性強化するのが嫌いだからです。厚化粧は、そのふざけた顔だけにしろって事ですね」

「厚化粧……そんなにしてませんよ。これはナチュラルメイクです。お化粧落としてもそんなには変わらないですから……」

「ふっ。ネフはまだ知らない様だね。強い武器やアクセ使って「オレツエー!」なんてしようものなら例外なくフラグが立つ事を。そしてオートバッドエンドです!」

「オートでバッドエンドなのですか!? まるで呪いみたいですが、嫌いって言葉でなんか納得できました。仮初めの力って確かに余りいい印象がないですもんね。確か前に召喚士も他力本願だから不遇な扱いだって話が出ましたけど」

「うん、召喚士は単体だと結構脆いからね。召喚獣出してたとしても、本体がやられたら全て終わりだから。それはわたしも認めるよ。だからわたしは一人じゃなくて、パーティーを組んでる訳。それだけじゃないけどね。立ち位置として全体を見渡せるから、メンバーへのフォローもできるし。どちらかと言うと中規模以上の作戦型向きかな?」


 召喚士は、小規模パーティーやソロには向かないと言う事をネフに説くミメットであったが、天然思考のネフは……。


「魔導士最弱って言われますもんね」


 ミメットへのダイレクトアタックを容赦なく食らわした。

 くれぐれも、ネフに悪気は全くないのだが。


「ネフって本当に容赦ないよね……。だけど! だけどだけど! わたしだって、自分の弱点は十分に承知してるから、以前の様に本体ダイレクトアタックされる対策だってちゃんと考えてます!」

「そうですか、通行人Aで活躍できるといいですね。後、わたしもまた出たいですので口利きしてください。できればセラフィと二人がいいなぁ」

「うっ! 悪意のない純粋な言葉の方が、悪意があるより心に突き刺さるよね」


「さてさて、今回はここまでの様です。それでは次回がある事を祈って! さようならー!」

「はいならぁ」


 にこやかなネフと、どっと疲れた表情のミメットは手を振った。


ちゃんと戻ってきて、こちらも続けますのでしばしおまちくださり。


備考:一部矛盾している点を修正しました。

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