【番外】5年の時を超えてなんとやら
5年も放置してしまいましたのでリハビリを兼ねて番外を入れたいと思います。
本編に影響を与えない様、本編と関わり合いの少なそうなキャラを抜擢しております。
尚、本編とは無関係となります。
「あーあー、テステス。
本日は晴天なり~! 本日は晴天なり~! あーテステス……。
はいっ!
と言う訳で、とてもとてもお久しぶりでございますっ!」
「そ、そうですね、本当にとてもとても。
完全に、わたし達の存在すら忘れちゃったのかと思ってましたが、そうじゃなかった様で、ほんの少し安心しましたよ」
「はい。今回ですね、作者の生存アピールと言い訳と、ほんの少しリハビリを兼ねたアレをしたいと思っております。
本編には無関係ですので、CM気分でお付き合い下さいねっ!」
メガネをくっと上げる。
「(ツッコミどころ満載だなぁ……)ところで先輩、わたし達ってまだ自己紹介してませんよね。
本編と無関係とは言え、一応しておかないといけないのでは……」
「はっ!? そうだね。
すみません。久しぶりだったのですっかり舞い上がってしまいました。
この作中でははじめまして、別作品の<小細工魔法士>に登場していた、召喚士のミメット・アズです。
魔戦士組合ランク8。三百種類の召喚が可能です。そして、最も得意な召喚はエキドナです!
時系列の事情により、本編には出れそうもないのですが、こんな形で再登場と言う事になりました。
先ほども言いましたが、作者のリハビリを兼ねた中休み的なアレとの事です。
短い間ですが、お付き合いの程よろしくお願いします」
ミメットはペコリと頭を下げる。その時メガネがずるっとズレた。
「同じくお久しぶりになります。
短編ですが、<最強を目指した少女>では”主人公”をさせて頂いておりました、ネフ・インディゴです。
魔法学校を主席で卒業した、精霊魔法使いです。
ほんの少しの間だけですが、魔戦士組合員でした。
ミメット先輩とは、全く面識がなくて少し緊張しておりますが、依頼の一つと思ってがんばりたいと思います!」
そう言ってネフはペコリと会釈した。
「ネフは主人公やった事あるんだよね……いいなぁ。
わたしは王国でも、超ウルトラスーパーデリシャスレアな召喚士なのに……(ぶつぶつ)」
ミメットは、指をくわえる仕草をして拗ねて見せた。
「(デリシャス?)何だかすみません……(先輩の目が怖い)。
と言うか、先輩って前は、そんなキャラじゃなかったですよね(<小細工魔法士>編を見つつ)」
ミメットにジト目で見つめられ、ネフの顔がひきつっている。
「以前は、本を愛する寡黙な少女のはずだったんだけど、小細工魔法士のルビーの影響があって開花しちゃったんだ。
(今後主人公も狙って行きたいから、どんどんアピールしなくちゃいけないし)ブツブツ……」
「あっ、ルビーさんて、本編でもたまに名前の出て来る人ですね。
多分、わたしはお会いした事がないと思うのですが、何か訳ありな感じはしてました」
ネフはどことなく遠い目をして言った。
「(作中でルビーとニアミスしてるみたいだけど、気が付いてはいないみたいだね)
時系列だと、ネフの話は一番未来のお話なんだよね。
この最凶のプリーストは<小細工魔法士>編よりも昔の話で……。
新しく書いてる方が昔話なので混乱しやすいかな……?
でも、ネフも作中で性格変わってるよね。
最初と最後で」
「それはですね、世間知らずのガキだったのですよ。
今は心から反省してます……深く深く」
「ウフフ~、中二病の黒歴史。若いっていいなぁ」
ミメットは、にんまりして言った。
「もう許してください。
実際精神的にも肉体的にも追い込まれて、洒落になってなかったんですから」
ネフは顔に手を当てて俯いてしまった。
*
「とりあえず、自己紹介も済んだから、言い訳や世界観補足とか(自己アピールとか)してみましょ。
今回のこのコーナーは、完全にイレギュラーなので、次回があるかもわかんないから」
「確かに……。あるとしたら、また五年位のブランクが必要になりますね。もう二度とない事を祈りたいです」
「そうだね。
ではまず、作者の言い訳ですが、『気にはかけていましたが、気が付いたら今になっていました』との事です
補足すると、私生活に色々な変化があったのが大きな理由との事。
ある時は、ちょっとした事で意気消沈し、寝て起きたらそんな事も忘れて歓喜し、ネトゲ三昧。
最近は、ネトゲがすっかりソシャゲ化した事で、やる機会が全くなくなったようなのですが、忙しかったり忙しくなかったりでなーなーに。
所謂”明日から本気出す”みたいな。やる気は一応あったらしいけどどうだかね」
「なんだか……、しょうもない感じですよね」
「ね……。言い訳になってないよね」
ミメットとネフは、両手を左右に上げて、呆れたと言うポーズをとった。
「まぁ……、これ以上掘り下げるのも無意味そうなので次行きましょうか」
「そうしましょ」
*
「じゃぁ次行くよ。世界観補足だけど、ネフは何かあるかな?」
「あります、あります! 先輩の事です!」
「わたしの事? 召喚士的な話? それともメガネ?」
ミメットは、両手の手のひらを体の前でパンと合わせた後、メガネを両手で掴んで見せた。
「何かで見た様なポーズしてますけど、そんなポーズで召喚してませんでしたよね。後、メガネではないです。召喚士についてです」
「わかりました。説明させて頂きましょう!
でも、召喚そのものの説明はいらないと思うから、ネフの精霊魔法と召喚魔法の違いとかかな。
この二つは魔力と言うエネルギーを使うと言う点では同じ魔導だけど、使い方が全然違うのは分かってるでしょ?」
「やっぱりそうですね。わたしの印象としては、精霊魔法は本体Tueeeeで、召喚は本体Yoeeeeの召喚獣Tueeeeってイメージがあります」
「正直でよろしい! だけどその認識はありがちな勘違いだね。
図に描くと分かりやすいかな?」
ミメットは、黒板にチョークでカツカツと図を描き始めた。
<精霊魔法>
術者→魔力→魔法→ターゲット
<召喚魔法>
術者→魔力→召喚獣→ターゲット
「はい(どやぁ)」
図を描き終わり、ドヤ顔を決めるミメット。
「あっ」
そして、何かに気が付いた様子を見せるネフ。
「何か違いがありまして?」
「すみません。全く一緒だったのですね。ホントわたしって浅いですね(違いと言っておいて同じとか鬼畜ですか)」
ネフは落ち込んだ。
「(これだから失敗経験の少ないエリートはメンドクサイ、人生なんてひっかけ問題だらけなんだよ)
じゃぁね、コレらはどう思うかな」
<銃士>
銃士→弾+火薬→ターゲット
<弓士>
弓士→弓+矢→ターゲット
「あーっ、なるほど。分かりやすいです。結果的には同じですよね。
精霊魔法と銃士って全く別物だと思ってました」
ネフの言葉にミメットのメガネがキラリと光った。
「でしょでしょう?
方法が違うだけで、どれも似たものクラスだよね。
精霊魔法は魔法に魔力を注ぐけど、召喚士は召喚対象に魔力を注ぐってだけ。
銃とかの実態は、エネルギーが魔力じゃなくて、火薬とかに置き換わってるに過ぎないって事。
こういう勘違いは所謂、中二病が陥りやすい罠ってやつだよ。
ネフみたいなエリートの場合だと、自分の使う精霊魔法は、当然特別なんだって思い込みも起こるのかも。
対人兵器として見た場合は特にだけど、銃とかと比べると、魔法って発動時間からして圧倒的に不利でしょ?
目の前の相手がたとえ素人だったとしても、銃とか持ってたとしたら、自分が大魔法使えたとしても、前もって準備してなきゃ不利なはずなのに、根拠もなく魔法の方が凄いとか思っちゃう事とか」
「思ってました……。ごめんなさい」
「よーしよしよしよし(ネフはかわいいなぁ)
結局、適材適所なのよね。
それぞれ得意な分野があるの。
だから、どれが有利か不利かなんてのは場の状況で変化するよ」
「はい……」
ネフは叱られた子供の様に、しゅんとしてしまった。
「それでー。ネフが聞きたかった事はなんだろう?」
完全に、自分がネフよりも立場的に上である事を思い知らせる事に成功したミメットは、余裕の表情をしている。
「先輩の話からすると、どうやら作者は中二病らしいですね。
召喚士の本体Yoeeeeの召喚獣Tueeeeと思っているそうですよ」
「うっそーぉ!?」
「本当です。
だから、先輩がマトラ王国でも超珍しい召喚士で、なおかつ伝説級になっててもおかしくない実力があるのに、まだ主役が来ないとか、トリックス☆スターズにも抜擢されなかったのとかも」
「えーーーーッ!? うっそーぉ!? え? うそでしょぉー!?
わたしは単に、活躍出来なかったからかと思ってたよ。
本当だとしたら、どれだけ長く中二病患ってんだろう」
ミメットは、嘆きの唸り声をあげた。
「先輩って実際は、かなり活躍してますよね。
多分、うまく行かなかったのは、周囲のフォローが足りなかったせいじゃないかと思ってしまいます。
先輩は指揮も出来ますし、召喚士という立ち位置も、それに向いてると思いますし」
「そ、そうだよね。うん。
超ウルトラスーパーデリシャスレアな召喚士の割に、扱いが不遇だよね。おかしいよ。労働組合に訴えられればいいのに」
ミメットは、すっかりネフに乗せられている事に気が付いてない様だ。
「エルバさんもそう思いますよね」
ネフは、少し離れた所に立っているエルバに振った。
「え!?」
ミメットは、ビクッとしてネフが振った方向を見た。
「なんだか……、ミメットも大変そうだね」
ミメットのキャラが想定外だった事に、エルバは苦笑している様だ。
「因みにエルバさんのクラスは銃士で、先輩とは同時期の登場で隊長をされてました。
優れた指揮を的確に行える冷静さは、魔戦士組合員でも貴重な存在ですね」
ネフはタイミング良く、エルバの説明をした。
「エルバ!? 居たのーーーッ!?」
「まぁ……ね。ミメットが出ると聞いて、見学してたんだ。
中二病って言葉を初めて聞いたよ。
そういう病気? みたいなのがあるんだね、為になるなぁ」
そう言うと、エルバはネフに手を上げて、自分の説明をしてくれた事への感謝の意を伝えた。
「あぁぁぁぁぁ……」
エルバに見られてた事で苦悩するミメット。
なるべくクールに。本大好きで、物静かな控え目な少女だと思ってもらっていたと言うのに。
「あの、先輩? そろそろ終わりに……」
「うあぁぁぁーー……(終わったかもしれない)」
ネフが〆てもらおうと促した。だがミメットは、それどころじゃない様だ。
「じゃぁエルバさん、せっかくですので、最後の〆をして頂けませんでしょうか」
「え? いいのかい? 何か、毎回最後のおいしい所ばかりもらっちゃってすまない。
ご存知……でいいのかな?
五年のブランクを超えての復活表明だけど、まだまだ油断のできない状況には違いない。
だけど、オレ達の死活問題だから、何とか完結まで行って欲しいと願ってならない。
そうなる為の原動力を、きっとみんなが注いでくれるとオレは心の底から信じてる。
これからもどうかよろしく頼む……」
エルバは姿勢よく頭を下げた。
それをミメットは、口に手を当てて目をキラキラさせて見ていた。