第12章 - 緑狼
「ムー……本当に、あの化け物を倒せるのか?」
ベンの声は震えていた。彼の視線の先には、一匹の巨大な狼――“グリーン・ウルフ”がいた。
「一発でも食らったら終わりだぞ。見ろよ、あいつのステータス! 俺のHPはたったの160だ。ワンパンじゃなくても、三発で確実に死ぬ。」
その時、ムー・ランはインベントリから一つの装備を取り出した。
――【上級錬金術師のローブ】。
【上級錬金術師のローブ】
レベル:0
防御力:+50
移動速度:+5%
錬金効果:
成功率+20%
10%の確率で追加ポーションを生成
ムー・ランは即座に装備した。
その瞬間、HPが80から180に跳ね上がる。圧倒的な上昇だ。
「おい、ムー!」
ベンがうめくように叫んだ。
「お前の服、光ってるぞ!? マジかよ、伝説級装備!? 俺はボロ布なのに! ……いや、ほんとありがとうな!」
ムー・ランは小さく笑った。
「錬金術の試練をクリアした報酬さ。素材を持ってきてれば、回復ポーションを作れたんだけどな。次は忘れないようにするさ。」
そして、声の調子を一変させた。
「いいか、ベン。今から言う通りに動けば、五分で倒せる。作戦はこうだ。」
① お前が突っ込んでメイスで一撃入れる。
② すぐに十歩下がる。
③ 狼が追ってきたら、俺が攻撃してヘイトを取る。
④ そしたらお前が再び攻撃して、また十歩下がる。
――この繰り返しだ。ミスは一つも許されない。分かったな?」
ベンはゆっくりとうなずいた。
「つまり……俺が殴って十歩下がる。次にお前が撃って、また俺が殴って下がる。そういうことだな?」
「その通りだ。……準備はいいか?」
「行くぞ。」
ベン・ゼンはメイスを片手に、盾を構えながら一歩前に出た。
そして、力任せにグリーン・ウルフへ一撃。
―――2
ダメージはわずか。だが目的は攻撃ではない。
すぐに後退。狼の爪が空を切る。
一歩、また一歩。寸分の狂いも許されない。
十歩目に達した瞬間、ムー・ランの矢が放たれた。
―――7
狼が一瞬ためらう。まだヘイトはベンにある。
だが、次の攻撃で――
―――5
―――4
標的がムー・ランに移った。
彼は後退しながら矢を連射する。
―――5
―――7
―――3
狼が距離を詰めようとしたその瞬間、ベンが再び突撃。メイスを何度も叩きつける。
―――2
―――3
―――1
―――1
―――2
狼の視線が完全にベンへ戻ると、彼はまた十歩下がった。
――10秒後、狼のHPは500から458に。
このペースなら、五分以内に終わる。
二人の連携は見事だった。
一撃ごとに息が合い、一歩ごとに無駄がない。
外から見れば、まるで戦闘の舞踏のようだ。
―――7
―――7
―――3
―――3
二分後、狼のHPは残りわずか50。
―――5
―――4
―――2
狼がムー・ランに再び向き直る。だが、ベンが踏み出そうとしたその時、ムー・ランが静かに言った。
「最後の一撃は――お前だ。」
「お前のクエスト、“聖騎士の魂の試練”には、止めを刺すことが条件なんだろ?」
ムー・ランは再び矢を放つ。
―――7
狼のHPは残り3。
「行け、ベン! あと三発で終わりだ!」
ベンはメイスを振り下ろした。
―――2
だが、狼も反撃する。
―――80
ベンの体が揺れる。それでも倒れない。
パラディンのスキルと盾の加護が、致命傷を防いでいた。
震える腕を上げ、最後の一撃を放つ。
―――1
グリーン・ウルフが崩れ落ちた。
ピン!
【討伐完了:グリーン・ウルフ】
高レベルモンスターを撃破!
ボーナス経験値を獲得!
+10 EXP
「ムー! 10経験値もらったぞ! お前は!?」
「同じだ。」
ムー・ランは満足げに笑った。
「やったな。でも……まだまだ先は長い。お前のクエストを終えるには、あと20匹は倒す必要がある。」
ベンが経験値バーを確認すると、ほとんど動いていなかった。
【経験値:10/5000】
「……この調子だと、レベル2になるまでに、500匹倒さなきゃならねぇな。」
彼はため息をついた。




