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サイバーパンク2023-そのTSモブ兼女ザコは反射とエネルギー操作を操る-  作者: 東山琉生
チャプター1 ようこそ、〝世界最悪の街〟ウィング・シティへ
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EP6 主人公と3人の女ザコ

 3人の女ザコの顔がこわばる。間違いないと思ったのだろう。これが、ブラッドハウンズの車だということに。

 対照的に、僕は冷めた目つきでその車を眺めていた。ここで無様に撃たれて助骨でも折れば、きっと考えを改めてくれると。


「ラーキ、ラーキ!! ブラッドハウンズの追手だよ!?」

「さっき銃弾捨てちまったし、どうすりゃ良いんだよ……」

「あぁ……神様、助けて」


 顔を歪める彼女たちを見て、僕は舌打ちした。


「おお、裏切り者は処刑だ。命令を無視した挙げ句、こんなところまで逃げやがって。ここ、ブラッドハウンズのシマじゃねェんだぞ──!?」


 僕は、近くに落ちていた小石を投げた。それはみるみる加速していき、やがてミサイルのように車を一台破壊した。


「分かっていないなぁ……」


 今度はブラッドハウンズの追手どもが表情を歪めた。


「コイツらの顔を歪めて良いのは、僕だけなんだよ……!!」


 女ザコが主人公へ無様にやられる姿に興奮する。それが僕だ。だが、僕は主人公に転生? できなかった。

 なら、主人公に成り上がれば良い。本来の主人公? 所詮敵のモブ? なぎ倒されるだけの存在? そんなもの、受け入れるつもりは毛頭ない。


「クソッ!! あのガキがなにかの〝ギア〟を持ってる!! アイツから潰せ!!」

「へッ、やれるものならやってみろ」


 当然、僕の元に大量の弾丸が飛んでくる。嵐みたいに。

 しかし、彼らは僕の能力を知らない。知らないのは、致命的な落ち度になってしまうのだ。


「──!?」


 僕は、弾丸をすべて反射した。弾がまっすぐ彼らの身体に直撃し、同時に車へもぶつかる。耐えきれなくなった車が火の粉を上げて爆発する頃、決着は着いていた。


「クイズの時間です。この女ザコは一体どんな能力を得たでしょうか?」


 もう生き残っている者も限られる。僕は地面を蹴って、彼らの元への距離を一瞬で詰めた


「てめェ、まさか……!!」

「そのまさかです。アンタらの力による平和を具現化する、奇跡の能力。この〝ギア〟は自由なエネルギーを挿入する。要するに、すべて反射にも設定できるイカした力、ですよね?」

「クソッ、どこから情報が……!!」拳銃を向けられる。

「自殺志願ですか? ああ、気がおかしくなっただけか……!!」


 僕のこめかみ辺りに照準が合わせられるが、もはや結果は決まっている。乾いた破裂音と硝煙の匂い、すなわち勝利の香りだった。

 車の残骸が燃え盛る頃、僕はデバイスを切る。こうなるとただの女ザコだが、もう敵性はいないので問題はない。

 そして、

 僕は、呆然と立ち尽くすみんなの元へ歩み寄っていく。


「やぁ」

「ラーキ、貴方一体なにが起きたの──」

「ちょっと自我が芽生えただけさ、ニーナ。大丈夫、情けで君らを始末していこうと思ったけど、ソイツはスマートじゃないからやめた。同じ班に配属されたのもなにかの縁だと思うしね」

「し、始末?」

「そう、アーキー」

「私ら、一蓮托生じゃないの……?」

「リミ。言っちゃあ悪いけど、私と君らじゃ天と地ほどの差がある。そこを埋めてくれないと、托生にはなれないよ」


 それぞれに返事し返して、僕は港の入口兼出口を指差す。


「さぁーて、まず没個性な見た目を変えるところからだ。君ら違和感を抱いたことないの? みんな似たような金髪。髪型が違うだけで、あたかも乱造されているNPCみたい。それに、これからこの街で生きていくのなら、髪色くらい変えたほうがやりやすい」


 深夜のウィング・シティ。こうして、3人の女ザコとひとりの主人公が生まれたのだった。


とりあえずチャプター1おしまいです。


閲覧ありがとうございます。

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