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サイバーパンク2023-そのTSモブ兼女ザコは反射とエネルギー操作を操る-  作者: 東山スバル
チャプター3 我は死なり、世界の破壊者なり

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EP52 こんなふざけた世界にも

「ねぇ、ラーキ」

「うん?」

「このままさ、平和な国で暮らしたいよね」

「……そうだね」



ふと思う。

ニーナと僕が入り込む前のラーキは恋仲であったと。その経緯は知らないが、ひとつ確かなのは、ニーナも僕も平穏な暮らしに焦がれていることだ。されど現実は残酷だ。平和に過ごしたいだけなのに、それからもっとも程遠い仕事をする羽目になっている。


「こんなふざけた世界でも、まだ愛があるから良いんだけどね」


ニーナは、ボソッと呟く。


「ねぇ、ラーキ」

「……うん」

「貴方の中身が入れ替わってることくらい分かってる。昔と話し方は変わらないけど、素振りや頭の良さで分かっちゃうんだ」

「あぁ、そうだね。ニーナの知っているラーキはもういない」

「でも、それでも、私はラーキを愛してる。中身が入れ替わっても、私を守るために動いてくれてるのには変わらないもん」


機内の静かな空間に、ニーナの言葉が染み渡る。


「ありがとう、ニーナ」僕は小さく微笑む。「ニーナがそう言ってくれるなら、少し救われるよ」



合衆国の首都に、僕らは降り立った。典型的な計画都市は、日本ではなかなか見ることのできない風景を醸し出している。


「ウィング・シティと違って、空がきれいだね」

ニーナは楽しそうに辺りを見渡す。「ね! 良い街だよ!」


ウィング・シティと違って、空が澄んでいる。あの太陽の日差しも浴びられない摩天楼もないし、近くで発砲音が聴こえることもない。あの街に比べれば、天国のように平和だ。


「さて、国防総省に行こうか」

「うん!」


本来、国防総省は別の州にあるはずだが、この世界では首都にある。五角形であることには変わりないが。


「タクシー拾おう」


僕は手を上げ、タクシーを捕まえる。日本と違って自動ドアではないようだが、別にそんなことはどうでも良い。


「国防総省まで、お願いします」

「はい」


すでに連邦政府との連絡は済んでいる。市民カードを持っていくだけで良いらしい。


「お客さん、観光ですかい?」


運転手が話しかけてきた。僕は適当に観光だと言おうとするが、


「いや、隣の子がグレード・セブンに勧誘されたんですよ~!」


ニーナが自慢げに、機密情報じゃないか? と言いたくなるようなことを口走ってしまう。


「へえ。グレード・セブンといったら、合衆国の切り札ですからね。しかし迎えの車も寄越さないとは、政府も傲慢ですな」

「ですよね~。これから任命されるだろうに」


ニーナは不満げにそう言った。


「お客さんはどちらから来たんですか?」

僕が答えた。「ウィング・シティです」

「失礼ですけど、だいぶ治安の悪いところから来たようで」

「だいぶ、なんてものじゃないですよ。あそこは世界最悪の街ですから」

「怖いニュースもたくさん流れてきますしね。この前なんか、軍基地が襲われたとかなんとか」


それは僕らがやったことである。

しかし、ここで白状するわけがない。


「そうですね~。流しのタクシーなんて乗ろうものなら、金品奪われて射殺されちゃいますよ」

「恐ろしい街ですな」

「それに比べれば、この街は天国のごとく平和ですよ。発砲事件もあまり多くないんでしょう?」

「そうですな」


ニーナは街並みを眺めるのに勤しんでいて、会話には参戦してこなかった。

そして、

僕らは国防総省の五角形庁舎へたどり着く。


「25ドルです」

「はい」


偽札が横行する国なので、そもそもカード払い以外受け付けないようだった。ニーナがカードで支払い、僕らは外に出る。


「いやー、圧倒されるね」

「ね。楽しくなってきた!」


僕らは総合参謀本部のほうへと進む。入口の警備は荘厳(そうごん)で、セキュリティも厳重そうだったが、市民カードを提示してそれに埋め込まれているIDが認証されると、あっさり中へ入れた。


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