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サイバーパンク2023-そのTSモブ兼女ザコは反射とエネルギー操作を操る-  作者: 東山ルイ
チャプター2.5 サンダードーム空軍基地襲撃作戦

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EP45 不条理にも穴はある

「なにになりたかった、かぁ。そうだね、無難かもだけど宇宙飛行士とか? こう見えても、良い大学出ているんですよ。なんと、泣く子も黙る東大です」


 怪我人の治療、死傷人の救急搬送、大パニックに陥る軍基地で、僕は退屈気に過去の自分を暴露した。


「でも、巡り巡ってやっていることが殺し合いじゃ、報われないですよね」


 殺し合いを語る僕の声に、まだ立っている若い兵士たちは引き気味だった。気にすることなく、僕は続ける。


「ねぇ、皆さんはこれからどうするおつもりなの? といっても、選択肢はふたつだけ。降伏か、抵抗か」


 すでに何十人と殺られているのに、手打ちなんてありえない。なら、徹底抗戦する? マルガレーテとロブスタの激突が続き、災害のような戦闘が生じる中で、僕の能力による友軍誤射(フレンドリー・ファイア)だけは避けなければならない。


「降伏なんて誰がするか!」若い兵士が声を荒げたが、年長の兵が制止した。

『……我々にとっても、これ以上の戦闘は無意味だ。サンダードームに属していた兵士のほとんどが死に至り、システムも壊されている』

「ご賢明ですな。しかし残念ながら、私たちが本当にほしかったものが、全く見渡らないのですよ。緊急でどこかに移されたか、それとも──」


 そのとき、インカムより緊急の連絡が入った。


「ラーキ! マルガレーテさんとロブスタの戦闘が激化してる!! このままじゃ、マルガレーテさんが……!」


 ニーナの言葉には切迫感があった。もはや、時間の一秒一秒が惜しいところまで来ているのだ。


「あ、すみません。野暮用ができたので、私はそちらへ向かいます。平和を愛する者同士、うまくやりましょう」


 立ち上がり、管理室をあとにする。廊下から見える風景の一部には、マルガレーテとロブスタの戦闘の痕と轟音。もはや人間とはなんぞや? と訝りたくなる。


 さらに、このまま行けばどちらかが〝サイコ・キラー〟になるのは決定的。彼らがランクAAAであり、実質無限にギアや身体改造を行えるにしても、やはり人間には限界というものがあるのだろう。

 ふと、ひとりで呟く。


「僕にできることは……」


 マルガレーテの炎が道標となり、そこでふたりは対峙しているのだろうが、現実的に考えたとき、そこへ僕が加わってなにかを提供できるのか。


『ラーキ、ロブスタ・ノキの能力の詳細が割れたから言うね! アイツは酸素を媒介に〝ルール〟を生み出す! だけど、その不条理にもやっぱり穴はあるよ!』


 あの化け物たちにも弱点がないわけではない。それは僕にだって同じことが言えるだろう。


「アイツは能力を連続で使えない! 必ず、3秒のインターバルが必要なんだって! さらに、操縦できる範囲にも限界があるんだってさ!!」


 なんの制限なく撃ちまくれれば、そんなのはただのチートだ。ゲーマーだからこそ、そう言いたくなる。とはいえ、ここがゲームの世界のお話でもないし、ここで格好良い主人公が僕らを助けてくれるわけもない。


 と、ここまで思慮を巡らせたとき、


 僕は、思い出す。この世界は、限りなく『サイバーパンク2023』というオープンワールド・クライムアクションゲームであることを。


「……ニーナ。もうじき私らは帰れるみたいだよ。帰ったらさ、どこか遊びに出かけよう」

「ど、どうしたの?」


 僕は通信を切って、準備を始める。


 一方、窓の向こうから見える景色は、ややマルガレーテのほうが圧されているようだった。


「こりゃ、急がなきゃ」


 ふたりはおそらく互角。だが、サイコ・キラーになるのを承知の上で戦闘できるロブスタと、そうはなりたくないマルガレーテ。差があるとすれば、そこだろうか。


『こちらカルエ。データディスクとスーパーウェポンの回収に成功したが、動けん』


 他方、カルエは大金星を収めたようだった。


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