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サイバーパンク2023-そのTSモブ兼女ザコは反射とエネルギー操作を操る-  作者: 東山統星
チャプター2.5 サンダードーム空軍基地襲撃作戦

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EP43 一時休戦

『ラーキ!! ロブスタ・ノキの乱入は予想外だったけど、うまくマルガレーテさんが入ってくれた!! 今のうちにそこから離脱して!!』


 確かに、この場に留まってもやることはない。僕は激戦続くマルガレーテとロブスタから離れて、元通り白いドアの前へ立つ。

 そんな最中、

 カルエ・キャベンディッシュが、立っているのもやっとの状態で、両手を両膝に乗せながら、


「ラーキ……、おれが回収しに行く。幸いなことにこの施設は空っぽだから、なんとかなる……」

 インカム越しにルキアが声を張り上げる。『カルエ!? 生きてたの!?』

「あぁ、まぁな……。つっても、もう歩くのがやっとだ」

 少し涙声のようにも聴こえた。『良かったわ……。貴方が死ななくて、本当に良かった』

「……おい、ラーキ。オマエはこの喧嘩がどこへ向かうか考えてるか?」

「えっ?」

「あのマルとロブスタが激突している以上、どちらかが〝サイコ・キラー〟に成り果ててもおかしくない。そうだろう?」

「うん、まぁ」

「〝サイコ・キラー〟になった者は道徳を失い、その能力をすべて使い果たし虐殺し、やがて死に至る。では、ラーキ」

「う、うん」

「マルが〝サイコ・キラー〟にならないよう10分で良いから停戦時間を設けさせろ。いや、なんならおれが両者に会って言ってくる。おれか。お宝はすぐ目の前に来ているんだから、こんなところでスタンバッていられないよなぁ」


 ウィング・シティ側を揺すれるデータとスーパーウェポン。それを獲りに行くため、もうガタガタな身体にムチを打ってでも、カルエはふたりが動きを止めたところに割り入る。


「あ? カルエにラーキ、どうした」

「話し合いだよ」

「ザコと話す時間はねェ」

「まぁまぁ、互いに理がある提案だからさ。サイコ・キラー化を防げるように、とね」


 続いて、僕のターンだ。

 これは簡単だろう。マルと僕なら、評価AAAの化け物にも勝ち筋が見えてくる。


「おう、生娘ちゃん。足引っ張るなよ?」

「うん、おばさん。足がつらないようにね」

「お、おばさん!?」

「マルって何歳?」

「レディーに歳聴くのは失礼だろうよ」

「不妊治療して、試験管ベビー使って妊娠したかったみたいだけど、あまりにも遠回り過ぎる手法だなぁって思った」

「……要するに、なにが言いたい? それ、昔あたしがやろうとしたことじゃねぇか」

「こういうしょうもない話で盛り上がれるのも、ひょっとしたらもう二度と来ないような気がしてさ。でも、そういう話していたいでしょ? だから提案があるんだけど──」


 僕は少しマルガレーテのことをからかいつつ、奥の部屋に向かっていく。


 *


「おう、あたしのところの……いや、簒奪者〝サンバ・ツール〟に属していたガキだよな? 不思議な話だよ。その骨伝導イヤホン、外部デバイスなんだろ? 〝パクス=マキナ〟っていってさ。道具による平和か。良いねぇ」

「良いんだか……んじゃあ、図面通りに行こうよ。アイツは酸素を偽装して、僕の反射が効かないように細工をかけた。なら、僕はデバイスを使って、アイツの有害な毒ガス? を解析する」

「なぁ、ラーキ」

「なにさ」宿舎のパソコンでロブスタについて調べていた。

「こう言っちゃ悪りぃけど、アイツの素振りや目を見る限り、多分アイツ〝サイコ・キラー〟になるのを承知で挑むつもりだぞ」

「……厄介、だねぇ」


 その状況に陥れば、必ず死ぬ。それも5分以内に。サイコ・キラーは能力の限界すらかるく突破して、たとえばロブスタであれば、彼は酸素そのものをなくすことができる。範囲は分からず、ひとりずつから酸素を奪うのか、それともまとめて奪われるのか。


「ともかく、この軍用の酸素マスクつけるしかないでしょう」

「そうだな……」


 *


 軍靴の音が、しかしこの基地の規模を考えれば途方もなく少ない足音だった。総勢、10~15人程度だろうか。


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