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サイバーパンク2023-そのTSモブ兼女ザコは反射とエネルギー操作を操る-  作者: 東山ルイ
チャプター2 プルス・ウルトラ、さらなる高みへ

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EP30 無法者ラーキVSグリッド・コール

「──へェ」


 グリッドは少し感心したような、そういう目で僕らを見てきた。

 今、僕とニーナの前にはピンク色の壁がある。それは半透明で、光を放っていた。


「ここに来てギアの本質を見抜いたか。こりゃあ、やるなァ。拍手してやりてェくれェだよ」


 ニーナのギア、『ドック・ヒーラー』は近くにいる者の傷を癒やせる。また、今円型に広がっているシールドは、中に入っている者の傷跡を即座に回復させるのだ。

 これでもう、手の甲の痛みはない。僕は即座にデバイスの電源をつけた。

 そして、

 僕はグリッドとの間合いを一気に狭め、彼へエネルギー弾を放つ。

 されど、やはり相当の手慣れ。あっさり交わされてしまった。首をヒュンと動かすだけで、グリッドはくらったら確実に潰れていただろう攻撃を避ける。


「やめておけよ、ヒヨッコども。おれに攻撃が当たると思ってんのか?」

「ああ、思っていないさ」

「なら、なぜそんな真似を?」

「教える義理はない」

「だよなァ」


 気の抜けた声色とともに、グリッドは固まった空気を次々と僕にぶつけようと動かす。それは空気や酸素なので、目で捉えることはできない。


「まぁまず、おれの攻撃をなんとかしてみろ。話はそこからだろう?」


 僕は先ほどのマルガレーテ戦で実戦した、防御バリアを敷く。

 その効果で、弾丸よりも凶悪な攻撃が跳ね返される頃、

 グリッドの姿は消えていた。

 なにがあった? さっきまで、グリッドは僕の眼前にいたはずだ。

 まさか……!?


「ここだ、ヒヨッコ」

「──ぐぅッ!?」


 グリッドは目の前にいた。だが、目視できなかった。

 それが故、僕は彼の身体改造が混じった拳をもろにくらう。

 ゲホゲホと咳をはらい、その場にへたり込みたくなるが、血を垂らすだけで抑える。ここで倒れたら、次はニーナの番だ。


「で? どいてくれる気になってくれたかな?」

「……。悪いけど、ここの門番を任されているんだ。死んでも譲れないね」

「ああ、そうだったな。言ったところで分かるようなガキでもねェか」


 僕はかろうじてその場に立つ。固唾を呑んで見守るニーナ、それにブラッドハウンズの構成員は、しかしどこかで知り始めていた。この喧嘩の勝敗は、すでに決まっているようなものだと。


「ぐッ!!」僕は首を掴まれる。

「情けねェ声漏らすなよ。おれが悪人みてェじゃないか」


 その勢いで、僕は地面へと叩きつけられる。

 これがランクAAの身体改造……!! 僕は青アザだらけの身体と折れた骨の所為で、もはやその場から立ち上がることもできない……。

 マルガレーテとの一戦で判定勝ちを取れたのは、やはり彼女が慢心していたからなのだろう。

 だが、目の前にいるグリッドは、全くもって傲慢さを感じ取れない。


「ンだよ、もう少し根性出せ」


 うつ伏せに倒れる僕の頭を、グリッドが踏みにじる。

 もう、駄目だ。これは、勝てない。こんな相手に、勝てる術なんて、ない……。


『危機的状況が検知されました。これより、〝オーバヒート〟を起動します』


 僕の脳内に、何者かが語りかけてくる。どうやら機械オペレーターのようだ。でも、一体なんの声なのだろうか?

 その刹那、


『オーバヒート・モード起動。作動時間は、1分です』


 バリバリバリ!! と、なにかしらのエネルギーが一点に集中していく。集まる場所は、僕そのものであった。

 辺りの車や街路樹が吹き飛ばされ、ヒトも立っていられない。一体なにが起きている? それは、僕にすら分からない。

 そんな最中、グリッドは宙高くまで放り上げられ、僕はなぜか立ち上がれた。


「ら、ラーキ?」


 ニーナの怪訝そうな声は、そのまま今の状況を示していた。

 僕はなにが起きたか分からず、しかし体表(たいひょう)にエネルギーが奔流(ほんりゅう)のように流れるのを体感する。


「おいおい……、このタイミングで隠し機能が覚醒するのかよ!!」


 声色から力が抜けていたグリッドは、途端に声を荒げる。

 僕は宙に舞ったグリッドの元へ、さも当然のようにジャンプして追いつく。

 そして、

 グリッドが酸素になって逃げる前に、僕は彼の首元を掴んだ。


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