表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
サイバーパンク2023-そのTSモブ兼女ザコは反射とエネルギー操作を操る-  作者: 東山ルイ
チャプター2 プルス・ウルトラ、さらなる高みへ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

30/53

EP29 〝ウィング・シティと地獄は直結している〟

「クソッ!! 敵はたったふたりだ!! 突撃しろ!!」


 誰かがそう言った。しかし、今のところ彼らが全力で突進してくる様子はない。確かに目視できるだけで、数十人の敵がいる。だけども、こんなところで死ねるのか? という話だ。とどのつまり、連中は烏合の衆だ。


「グレネード・ランチャーは8歳児でも使えるんだってさ」

「へぇ。さすがウィング・シティ。なら撃ってみなよ、ニーナ」

「そうする!」


 無邪気な笑みを浮かべながら、新しいオモチャで遊ぶかのように、ニーナはランチャーをぶっ放す。


「ぎゃぁああ!!」


 ポン、ポン、ポン……と小気味良い音が響き、その度に悲鳴と爆発音が鳴り響く。これがウィング・シティ。これが、地獄と直結する街。


「次、なに撃とうかな?」

「これなんか良いんじゃない? レールガンだってさ」

「へー! レールガン!! コイルを電気の速度で発射するんだ!」


 こうなってくると、どちらが優勢なのか嫌でも分かってくる頃だろう。彼らがここを突破したところで、なにか勲章のひとつでも与えられるわけでもない。対して僕らがここを乗り越えられたとき、それはすなわち死を意味する。同じ場所で対峙する勢力、しかも人数差は数え切れないほどだとしても、心構えだけひとつでこんなに結果が変わるのだ。

 そうして、僕がひとまずこの場での勝利を確信し、拡声器で降伏を呼びかけようとしたとき、

 シュッ、と、鋭利な刃物のようなものが飛んできた。それはニーナの頬に切り傷を刻む。


「……!?」彼女は頬を抑える。

「ニーナ、伏せていて」

「……、分かった!」


 それは、確かに一番後ろに停まっていた車より降りてきた。

 白いスリーピーススーツ、緑髪を伸ばしていて、タバコをくわえている。

 そんな男前な青年が、数十メートルは離れているであろう距離から僕らへ攻撃したのだ。


「ッたく、うちのおっさんも少しくれェ頭使えよな。あのマルガレーテとカルエ・キャベンディッシュのヤサだぞ、よほどの手慣れがいるに決まってるじゃねェの」


 彼はタバコを地面に吐き捨て、スピーカーを持ち出す。


「おい、下部構成員ども!! もうオマエら下がってろ。この女どもはおれがやる」


 その声へ呼応するように、ザコたちは彼のために道を開けていく。

 やがて、アサルトライフルを構える僕のすぐ近くに彼は立つ。


「グリッド・コールだ。よろしく」

「ああ、こちらこそ」

「で、悪リィけど、オマエらどいてくれねェか?」

「嫌だね」

「ああ、そうかよ。なら二度と聞かねェわ」


 緊張が走る場面だ。僕はデバイスに手を持っていこうとする。

 が、

 またもや刃物のようなものが僕の手を弾いた。

 鈍い痛みが手の甲に響く頃、グリッド・コールは退屈そうな表情で、


「なんで、わざわざパワーアップするところを見逃さなきゃならねェの?」


 再びタバコをくわえる。彼は続けた。


「オマエのそのデバイス、元はふたつあるうちらの秘密兵器だったんだわ。合衆国の天下を獲りに行くとき、絶対ソイツは大切になってくる。だからまぁ、あれだ」


 グリッド・コール。彼は原作でも出てくる。二つ名『無秩序のウルフ』。ブラッドハウンズと対峙する上で、気の抜けた声色とは裏腹に、もっとも恐ろしい強敵のひとりである。


「ウィング・シティと地獄は直通してることを教えてやるよ」


 正気度を表すランクはAA。主に使うギアは……、


「ニーナ!! ドック・ヒーラーで壁作って!!」

「え──」

「早く!!」


 空気そのものを硬化させ、刃物のように操る能力だ。


「遅せェよ、ガキども」


 一か八か、僕はニーナの覚醒にかける。彼女はまだ自身に装着されたギアの能力を理解していないが、同時に能力は窮地でこそ思わぬ展開を広げる。

 その結果は──、


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ